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★微生物の世界(検査専攻向き・細菌編): 感染と予防

苦手な人が多い微生物学のまとめ☆とっつきにくい”微生物学”のイメージが少しでも解消されることを願ってガイドを作ってみました(´・ω・`)

私たちのからだと細菌

ここに示したのはヒトに常在する主な細菌の種類です。

私たちの体にはたくさんの細菌が住んでいて,いろんな働きをしています。

感染菌を同定する目的で培養を行う場合,これらの常在菌の存在を忘れないようにしましょう。

ちなみに,血液 髄液 は普通であれば細菌が存在するはずのない検体です。

これらの検体中に細菌が見られた場合,採取時のコンタミ,あるいは敗血症,髄膜炎の原因菌であることが予想されます。

 

殺菌

殺菌=読んで字の如く,微生物を死滅させることですが,その目的により,滅菌と消毒に分類されます.

みなさんは二つの違いが分かりますか?

滅菌:物質中の全ての微生物を殺滅あるいは除去すること

消毒:ヒトに対して有毒な微生物または目的とする対象微生物のみを殺滅,減少させること


と定義されています.

さて,以下に滅菌法と消毒法についてまとめた表を載せています.

見るだけでうんざりしそうですが,国家試験にもよく出ている内容なので方法と対象物を大まかにでも覚えましょう.

・滅菌法は物理的方法のみ,その中でも乾熱滅菌,高圧蒸気滅菌がほとんどである→それ以外の対象物を覚える!

・特殊な医療器具はガス滅菌が行われることが多い

この中で最も大切なのは,高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)です.

滅菌温度121℃,滅菌時間20分は覚えておきましょう.

コラム②:常在菌

上のBoxにも示したように、私たちの体には細菌が住みついています。

きれい好きの私たち日本人にとって、細菌=ばい菌のイメージが強く、細菌が体に住み着いていること自体、気持ち悪いことのように思うかもしれません。

でも実は、この常在菌はからだにとっていいこともしています。

例えば、新たな病原菌が体に入り込めなくする作用(縄張り争いのようなもの)、免疫刺激作用(無菌状態の動物は弱い!)などなどです。

反対に、残念ながら、悪いこともします。

例えば、病気になり免疫力が低下すると、常在している菌によって内因感染を起こしたりします。

残念ながら、この常在菌、十分に消毒し、無菌に近い状態にしても、その後すぐに毛包管や汗腺などから残存した菌が出現してもとに戻るそうです。

私たちは常在菌とうまく付き合っていく必要があるみたいですね。

下に常在菌に関するニュースをピックアップしてみました☆

感染とは?

感染 infection

とは、宿主(ヒト)に微生物が侵入し、体表面、粘膜などの組織、細胞に付着し、増殖を始める状態と定義されている。この時点では、組織局所には変化(いわゆる炎症性変化)は起こっておらず、また宿主の自覚的、他覚的所見(症状・症候)もみられない。

ー臨床検査学講座 微生物学/臨床微生物学 より引用

感染が起きただけでは感染症にはなりません。

体外、体内の防御反応で感染した微生物を排除できないとき、はじめて感染症としての症状をあらわします。

幸いなことに、抗生物質やワクチンなどのおかげで、感染症の多くはわたしたちの命を脅かすものではなくなってきました。

けれども、病気や病気の治療が原因で免疫力が低下している人たちではそうはいきません。

上に示したのは、病院を取り巻く感染症の現状を模式化したものです。

 院内感染: 入院時には存在せず、入院中に発生する感染症

 内因性感染: 常在菌による感染

 複数菌感染: 複数の菌に同時に感染すること

 日和見感染: 感染に対する抵抗力が弱っている患者が本来病原性の低い微生物による感染症を起こすこと

病院において最も大切なのは、院内感染を起こさないこと、広めないこと、です。

病院に入院している患者は易感染宿主 (compromised host;免疫力の低下により通常では感染することなく生体に症状が出ない微生物によっても、容易に感染を起こし、臓器機能障害・症状が出やすい状態になった人のこと) がほとんどなので、それを肝に銘じておく必要があります!

消毒

左の”殺菌”のBOXでは完全に無視しましたが,実は消毒薬についてはきちんと覚える必要があります.

たくさん種類がある上に,何に効果があり,何に効果がないか,さらには消毒の対象となるものまで覚える必要があるので,結構大変です.

〇:効果あり ×:効果なし、△:効果が得られないことがある

小型サイズ:脂質を含まないウイルス(アデノ、コクサッキーなど)、中間サイズ:脂質を含むウイルス(ヘルペス、インフルエンザなど)

 

赤で囲んだところはポイントとなる所です.

アルデヒド類あらゆる細菌や真菌、ウイルスに有効。人体には使用不可。

消毒用エタノール:芽胞には無効。

ポピドンヨード:皮膚の消毒薬。あらゆる細菌や真菌、ウイルス(×HBV)に有効。

次亜塩素酸ナトリウム:手指の消毒薬。あらゆる細菌や真菌、ウイルス(〇HBV)に有効。

フェノール類(フェノール/クレゾール石けん):芽胞、ウイルスに効果は弱い。

グルコン酸クロルヘキシジン:手洗い用の速乾性消毒薬。耐性化が著しい。

このようにして見ると、私たちが通常生活をするレベルでは、アルコール消毒が有効だということが分かりますね。