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現代思想マップ: 実存主義と文学

現代思想マップ。実存主義(サルトル)から構造主義,ポスト構造主義(デリダ),ニュー・アカデミズム(柄谷行人),東浩紀に至るまでの現代思想の流れを概観する。

実存主義文学

実存主義文学の作家としては、サルトルカミュカフカ安部公房大江健三郎開高健らがいます。

いずれも、フランスや日本の戦後で活躍しました。

こういった作家たちのテクストを読むためには、ある程度、実存主義の知識が必要となるでしょう。

実存主義文学を読む

サルトルの実存主義では他人からどのように見られているかに、かなり重要なポイントがあります。

つまり、他人から見られた自分と、自分から見た自分のズレをとおして、新しい自分を作り出していくのです。

例えば、もし日本で徴兵制が行われ、あなたが軍服を着たとしたら、そのような自分が嫌になるかもしれません。

あるいは、ブラック企業で働くとき、あなたは「会社員」として会社のために働きながらも、その自分の姿に疑いの目を向けるかもしれません。

そのような、自分に対する「疑い」あるいはズレにこそ、自分を変えていく契機があります。

実存主義文学では、そのような「ズレ」に焦点が当てられます。

自分の役割や本質に従うことを「くそまじめの精神」とサルトルは呼びます。

安部公房の文学テクストでは、そのような「ズレ」が描かれたテクストが多数あります。

たとえば、『燃えつきた地図』などのテクストでは、主人公が都市空間で失踪するのですが、それは既成事実や本質からの逃走としても描かれているのです。

サルトルの「一指導者の幼年時代」では、ユダヤ人差別の構造が描かれています。

そのような実存主義は、フォークナードストエフスキーといった作家のテクストを読み解く方法にもなっています。

Subject Guide

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大場 健司
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本ガイドは図書館学習サポーター/図書館TA(Cuter)として勤務した際に作成したものです。

勤務期間 :2014年4月~2016年7月
当時の身分:大学院生(博士後期課程)
当時の所属:九州大学大学院地球社会統合科学府地球社会統合科学専攻