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実験!モデル生物図鑑: 微生物

様々な分野・目的で活躍するモデル生物について紹介します

バクテリオファージ

 

Bacteriophage T4

出典:wikipedia ファイル:Bacteriophage structure ja.png
著作権者:Y_tambe  ライセンス:CC 表示-継承 3.0

  

 ファージはゲノムが小さく系が比較的単純なため,分子生物学の初期によく使われていたモデル生物です.細菌にだけ感染し,宿主となる細菌は増殖速度が速いのでモデル生物として適しています.現在でもDNA複製,遺伝子発現,組換えの基本的な研究に使われています.

 ファージにはvirulentとtemperateの2種類があります.

virulentのファージは細菌に感染すると,宿主細胞内でファージ粒子を大量に作らせて宿主細胞を溶菌させます.これに対してtemperateのファージゲノムは宿主細胞のゲノムに組み込まれ多世代にわたって保たれますが,環境に応じて溶菌サイクルに移り変わります.

 

出芽酵母

 

Saccharomyces cerevisiae

出典:wikipedia ファイル:Saccharomyces cerevisiae.jpg
著作権者:Y tambe  ライセンス:GFDL

   

 

出芽酵母の生活環

出典:wikipedia ファイル:Scerevisiae-life.png
著作権者:Y tambe  ライセンス:CC 表示 3.0

 

 出芽酵母は簡便に扱える真核生物で,1倍体と2倍体の両方の形態をとれます.1倍体というのは研究上都合のいいことで,1倍体であれば欠失や変異によって起こる表現型を検出しやすいという利点があります.世代時間が2時間〜と短いことや,飼育が簡単なこと,相同組み換え率が高いといった特徴もあります.

  

分裂酵母

 

Schizosaccharomyces pombe

出典:wikipedia ファイル:Fission yeast.jpg
著作権者:David O Morgan  ライセンス:Attribution

  

 分裂酵母は通常1倍体で,接合時のみ一時的に2倍体になります.世代時間が2時間〜と短いことや,飼育が簡単なこと,相同組み換え率が高いといった特徴は出芽酵母と同じです.しかし,分子系統的には分裂酵母と出芽酵母は近縁ではありません.

 

大腸菌

 

Escherichia coli

出典:wikipedia ファイル:EscherichiaColi NIAID.jpg
著作権者:NIAID  ライセンス:パブリック・ドメイン

 

 大腸菌は最も解析が進んでいるモデル生物です.飼育が簡単かつ低コストなため手軽に用いる事ができます.また,世代時間が短い,変異株を作りやすい,遺伝子組み換えをしやすいといった特徴を持ちます.20世紀における生物学の急速な発展は大腸菌が大きく貢献しており,DNAポリメラーゼの発見やDNAリガーゼ,制限酵素の発見も大腸菌によるものです.今後も生物学への貢献が大きく期待されています.

 

枯草菌

Bacillus subtilis  (緑の部分は芽胞)

出典:wikipedia ファイル:Bacillus subtilis Spore.jpg
著作権者:Y tambe  ライセンス:CC BY-SA 3.0

 

 枯草菌はグラム陽性桿菌のモデル生物で,芽胞を形成することで熱や化学物質に対する耐久性を持ちます.また.枯草菌は自身で数100kbのDNAを取り込む能力があります.

細胞性粘菌

Dictyostelium discoideum

 

 動画を見ての通り,細胞性粘菌には走化性があり,走化性運動のモデル生物として用いられています.通常はバクテリアを餌としますが,液体成分の吸収だけに依存して発育する種もいます.一倍体であることや,相同組み換え頻度が高いという特徴をもち,解析を行いやすいです.見た目では細菌や菌類の様に思えますが,実際はそうではなく,植物の分岐後,動物と菌類が分岐する前に分岐しています.