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読めばもっと面白くなる!? 九大で読める漫画関連書籍: メイド漫画

九大で読める漫画関連書籍についてのブックレビューです。一部他の図書館のものもあります。

エマ

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「エマ」

森薫 ビームコミックス全10巻 (エンターブレインHPに飛びます)

 

イギリス文化が最も花開いたヴィクトリア女王時代を舞台とし、メイドのエマとジェントリ(上流階級)のウィリアムとのプラトニックな恋愛を描いた作品です。

TBS系列で2回アニメにもなっています。

日本では想像のつかないほどの厳しい階級社会で、愛をはぐくんでゆく二人の姿に胸が躍ります。

作者がメイドマニアの変なおねえちゃんであるためか、時代考証が他のメイド漫画と比べられないほどしっかりしており、読んでいてエマ達の生きていた時代にタイムスリップしたような気持になります。

そのため、人間関係以外の精緻な背景描写も見どころです。

関連書籍 (九大所蔵)

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「メイドと執事の文化誌:英国家事使用人たちの日常」

シャーン・エヴァンス 原書房

 

イギリスの古き良きヴィクトリア女王時代が好きな人にとっては必読の一冊です。

上流階級の人々を陰ながら支えてきた階下の人々(ダウンステアーズ)について写真と共に非常に詳しく解説しています。

漫画に出てくるハウスメイドのエマやターシャ、メイド長のアデーレさんなどの使用人の仕事についてかなり詳しい解説が書かれていますので、さらに物語世界への理解が深まること請け合いです。

私としては”執事”の項がおすすめです。

 


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「食で読むイギリス小説:欲望の変容」

安達まみ ミネルヴァ書房

 

三大欲求の1つである食欲は物語世界の中でも重要な役割を果たします。

この本ではイギリス小説における食の意味と役割について解説しています。

日本人にはなかなか馴染みのないイギリス食文化を知ることにより、小説の描写での内面的な意味をより深く知ることができ、一層物語世界に入り込めるのではないかと思います。

階級差における夕食の開始時間の違いというのが最も興味深いテーマでした。


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「高慢と偏見」 

ジェイン・オースティン

 

「エマ」よりはだいぶ時代が遡りますが、イギリス文化について色濃く書かれているのが特徴の一冊です。

結婚について少し焦り始めたエリザベスと鼻持ちならない金持ちのダーシーとの恋愛を描いており、ダーシーの第一印象が最悪だったエリザベスの心が段々と恋心に変わってゆく姿が見どころです。

キーラ・ナイトレイ主演の映画などメディア化されたものもありますので、本は読みにくいなーという方は映画から入っていくのもいいのではないでしょうか。

最近の映画なのでおそらくレンタル店にあります。


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「秘密の花園」

フランシス・ホジソン・バーネット 光文社

 

インドの流行り病で両親が亡くなってしまい、イギリスの叔父のもとへ引き取られていったメアリーの成長物語です。

閉じられた秘密の花園の中に足を踏み入れ、手入れをすることで植物が色を取り戻していくと同時に、偏屈になっていたメアリーの心もほぐされていく様子に感動します。

序盤、メアリーが一人で着替えられないと駄々をこねる部分は当時の上流階級の子供の教育事情が良く表れています。

「エマ」でも幼い上流階級の子供たちは何人か出てきますので、その子たちと比較してみても面白いと思いますよ


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図説 英国執事:貴族を支える執事の素顔

村上リコ 河出書房新社

 

「エマ」ではスティーブンスという有能な執事が登場します。

日本での執事のイメージは有能・誠実・従順が良くあげられると思いますが、実際の彼らはどういう人達だったのでしょうか。

この本では、当時の写真やイラストとともに、執事という職業について解説しています。

執事とはそもそも、酒の管理や男性使用人の監督を行う上級使用人のことで、仕事でワインのテイスティングを行うことからイギリス本国では赤ら顔の酔っ払い紳士のイメージが強いそうです。

日本のイメージとは全然違いますね。


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執事とメイドの裏表 : イギリス文化における使用人のイメージ

新井潤美 白水社

 

イギリスの貴族のお屋敷には様々な仕事をこなす使用人が働いていました。

この本では役職別に仕事内容や生活についてフィクション作品を例に挙げつつ解説しています。

エマのように一介のハウスメイドが玉の輿に乗るのは果たして可能であったのか、はたまた絵に描いた餅なのか、そういうところも解説してあるため、エマファンにとって面白い一冊となっていると思います。

私としては、執事と主人との逆転関係についての記述が興味深く感じました。

関連漫画・ドラマ

「ダウントン・アビー」

NHK総合 日曜夜11時から放送中 (NHK HPに飛びます)

 

「エマ」より少し時代が下ったエドワード王時代のカントリーハウス(田舎のお屋敷)を舞台として、階上(主人の家族)と階下(使用人)入り乱れた人間模様を描いたドラマです。

階上の世界では高慢と偏見と同じように限嗣相続制という男性本位の制度に何とか抗おうとする女性たちの奮闘と血で血を洗う姉妹ケンカが見どころです。

階下の人々では、謎の従者ベイツさんとメイド長アンナのロマンスにもドキドキします。

時代考証がしっかりしているうえに本物のカントリーハウスでロケを行っているため古きよき大英帝国が好きな方にもお勧めします。


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「シャーリー」

森薫 ビームコミックス 現在2巻 (エンターブレインHPに飛びます)

 

「エマ」と同作者の作品です。

女主人ベネットとメイドとしては若すぎるシャーリーとの穏やかな共同生活を描いています。

「エマ」の舞台であるヴィクトリア朝より少し時代が下った20世紀初頭のエドワード朝を舞台とし、ベネットさんの結婚問題など小さな波はありますが、ゆったりと楽しく暮らしていく二人の様子に心がほっこりしていきます。

小さいながらも仕事を頑張るシャーリーもとても可愛く、オタク文化における”メイドさん”とは一味違った魅力が詰まっています。


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「黒博物館スプリンガルド」

藤田和日郎 講談社 (講談社試し読みページに飛びます)

 

「エマ」と同時代を描いた漫画ですが、どちらかというとダークファンタジー要素が強い作品です。

切り裂きジャックよりも前の時代に暗躍したばね足ジャックの謎と活躍を描いています。

「うしおととら」や「からくりサーカス」など、少年漫画史を代表する作者のアクロバティックな描写は見事です。

家庭第一としたヴィクトリア女王時代の鬱屈とした空気が存分に味わえます。


「シャーロック・ホームズ」

NHK Eテレ 日曜夕方5:30から (NHK HPに飛びます)

 

原作のシャーロック・ホームズでは血なまぐさい殺人事件が多いですが、この作品ではだれも死にません。

Eテレで現在放送しているこの番組は、コナン・ドイルの原作をもとに三谷幸喜がイギリスの寄宿学校に舞台を変えた人形劇作品です。

ホームズやワトソンたちが学生となって学内の事件を華麗に解決していく様子にスカッとします。

声優も藤原竜也や市村正親など非常に豪華です。

「エマ」の世界でも、ウィリアムの弟アーサーが寄宿学校に通っているため、彼の住む世界が良く理解できるのではないでしょうか。