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九大教職課程を履修するあなたに: 3.学部1,2年をいかに過ごすか

本ガイドでは、九州大学の教職課程を経て教師になることを目指す学生(主に学部生)にむけて、人間環境学府の一大学院生が、自身の経験則に基づき、大学生活のすすめを紹介します。

①本章の構成

 このページでは、実習や卒論などがなく比較的自分の時間が持ちやすい学部の上半期に関するガイドを行います。教職課程を履修することを選択した学生がどのような点に留意しながら学生生活を進めることができるのだろうかという問題意識から、人と本という二つの情報媒体に着目し、情報収集の具体的な方法について紹介を行います

②人に聞く

学部1,2年生の時期というのは大学4年間の中でも比較的に自由な時間が確保しやすい期間です。学内の部活動やサークル活動、アルバイトなどに精を出すことも非常に魅力的ではありますが、下記にて紹介するコミュニティで社会経験を積むことも、自身の今後のキャリアを考えるうえで有益な手段の一つとなるでしょう。本節では、教職を履修している方にとって、有益だと思われる学外での活動について、私が実際に活動に携わったものを中心にご紹介いたします。少しでも興味を感じた方は、可能なものは見学してみるからアプローチしてみてはいかがでしょうか。

 


○まなび舎

活動主体:福岡市が委託した市内の諸NPO団体

対象:小学生、中学生

活動頻度:週1回から

HP:https://www.facebook.com/manabiya.fukuoka?fref=nf

活動について:

まなび舎では、「子どもの学びと居場所づくり」と、所謂「学習支援」の2つの事業に取り組んでいます。後者については、その名の通り、週に2回から受験を意識した中学生を主な対象に学習のサポートを行います。そして前者については、小学生と遊びながら、子どもにとって安心を得られる場、「居場所」を一緒に作り上げていく活動を行います。私は前者の活動に現在も関わっており、週一回、地域の施設で小中学生とともに、同じ時間を過ごしています。「まなび舎」は難易度の高い活動を行うわけではありませんが、専門性を求められる場面もあり、そうした専門性をもった社会人の先輩方そして、同じように教職につくことを視野にいれている大学生と共に学びながら活動に取り組みます。有償ですので、生活費を得ながら活動することも可能です。


○TeachForJapanプロボノ・サポーター

活動主体:認定NPO法人TeachForJapan

対象:教師・大学生・社会人

活動頻度:任意

HP:http://teachforjapan.org/

活動について:

 「すべての子どもたちが素晴らしい教育を受けられる社会に」をモットーにした、アメリカのTeach For America(TFA)をはじめとして現在世界中に広がりを見せるNPO団体の一つ。2年間を一つの期限として、それまで教育に関心のなかった人材を巻き込みながら「学校派遣を経て、教育への課題意識を持った次世代リーダー」の育成までを視野に入れた活動を展開しています。私は、九州事業部にて学生プロボノとしてその活動に2年間携わりましたが、なによりもそこに集まる人材の熱意と視野の広さに驚かされることばかりでした。私が組織に加わったのが、この活動の黎明期であったので、一見不可能と思えるようなところから、熱意をもってその突破口から確実に切り開き、有言実行してゆく組織の姿は華々しく力強いものでした。この活動に携わることできっと夢を実現にしてゆくために努力をおしまないことの大切さやおもしろみを間近にみることができると思います。

 


○カタリ場・ボランティアスタッフ

活動主体:認定NPO法人カタリバ

対象:高校生

活動頻度:本番と事前研修数回

HP:http://www.katariba.net/

活動について:

「カタリ場とは、高校生を対象に、学生のボランティアスタッフが中心となって約2時間の授業で高校生と本音で語り合う授業です。高校生の心に火を灯し、授業の最後には「今日からできる小さな行動」を宣言してもらいます。」これが、カタリバの主要な活動になります。大学生はボランティアとして、実際に高校に派遣され、自身の体験をもとに高校生と「本気で語り合う」ことを行います。高校生にとってはもちろんのこと、ボランティアとして参加した学生自身も自分のキャリアについて向き合い、これまでの自分の選択をみつめなおす場になります。


○未来トーク

活動主体:認定NPO法人まちづくりLAB

対象:中学生

活動頻度:本番と事前研修数回

HP:http://www.machilab.co/

活動について:

カタリ場と本活動は似ていますが、対象は中学生です。「子ども達が将来のモデルを見て、「あぁ、これからこんなことで悩んだり、喜んだりして、こんなことを考えていくんだなぁ」と少し未来をイメージできるようになること」を目的に大学生がボランティアスタッフとして学校に派遣されます。まちづくりLABでは「未来トーク」の他にもさまざまな活動を福岡を拠点に幅広く展開しているので、地元で教員になることを一つの進路として考えている学生にとっては、福岡の教育事情を知るという意味でも本団体に関わるメリットは大きいです。


○学サポ

対象:小学校、中学校

活動頻度:週一回から

HP:http://www.city.fukuoka.lg.jp/kyoiku-iinkai/gakkoshien/ed/supporter.html

活動について:

「福岡市教育委員会と協定を結んだ大学から派遣される大学生を、福岡市立の学校や幼稚園で受け入れ、授業や課外活動、休み時間等の教育活動に参加してもらうもの。大学では、講義やボランティア活動の一環として、大学生を派遣する。」福岡市が主体のボランティア活動です。実際に学校現場に入り、授業など教員の仕事をサポートします。教員になる前にいち早く現場に入り、その空気を知るには学サポが一番だと思います。教育学部にて開講の「ボランティア演習」ではその活動報告を行いながら日々の振り返りを行います。学サポ制度を利用する際はぜひ、こちらの講義を受講してみてはどうでしょうか。

③本に聞く

ここでは、活字情報を情報源として、情報収集を行う際に筆者が留意していることや、方法論について、教員養成課程を履修する学生向けに紹介を行います。

お話を始める前にまず強調されるべきだと考えることは、必要に応じて情報媒体を選択し、活字を消化するという行為はそれほど簡単なことではなく、訓練がもとめられるということです。小説など文学作品が好きで日ごろから本をたくさん読んでいる人でも、いざ専門書や新聞の記事など情報収集を目的に文字を読むと集中できなくなり、すぐに眠くなってしまうのではないでしょうか。

   

 原因は様々ありましょうが、大きな原因として、情報媒体の選択を間違えていることと、文章を丁寧に読みすぎていることが挙げられるのではないかと思います。文章に目を通す際は、そこに目的があるはずです。それは、例えば、時事についての新たな情報を得ることであったり、ある特定の言葉や概念などについて理解することであったりするでしょう。ある言葉について何も知らないところから理解するには、専門的な書物をむりをして読むのではなく、門外漢にも伝わりやすいように整理された入門書に触れなければならないでしょう。また、言葉の意味だけを簡単に理解したいのであれば、最初の問題意識などが語られる序章などは読まずに飛ばしてしまい、問題となる部分が記載された箇所だけ「つまみぐい」すればよいはずです(真面目で几帳面な人ほどこれが難しいと思います(経験談))。不必要な部分を読み飛ばすことは、初めのうちは少々勇気のいることかもしれませんが、そこに落とし穴があり、大抵の場合は本来読まなくてもいい部分を読んでしまっているがために、内容に興味がわいてこず頓挫することになりがちです。

  

 そこで1,2年生の比較的時間に余裕がある時期に、まずは活字をたくさん消化するなかで、必要な情報をスピーディに収集するための自分なりの活字を消化する基盤をつくりあげておくことがとても重要だと思われます。例えば、日常生活の中でふと生じた疑問を解決するためには、インターネットでその単語を検索するだけでは十分でないことが往々にしてありましょうが、そのような場合に次なる一手を選択する際の選択基準をあなたはお持ちでしょうか。その疑問に応じて情報媒体を選択しなければならないでしょう。

  

 以下は、私が情報媒体を選ぶ際の一つの選択肢です。また教職を履修している学生を主な読者層に想定しているので、私が読んだもののなかで個人的にお勧めできそうな図書もいくつか紹介しようと思います。

  

 



■新書

幅広い読者層を対象としているため、ある特定の分野について学ぶ際に入門書として活用することができます。


刈谷剛彦『教育改革の幻想』(ちくま新書)

教育社会学者である刈谷氏が、右往左往する教育改革の様相を俯瞰的に示す内容。本書の主張のひとつひとつが、持論ではなく、客観的なデータ資料を基に展開されており、巷の教育に関する議論がいかに居酒屋談義に収斂されてしまっているのかを結果的に暴露している。学歴社会が否定されて久しい日本社会ではあるが、教育改革において陥りがちな罠について警鐘をならし、立ち止まって問題を熟考することの重要性がよくわかる。 


木村元『学校の戦後史』(岩波新書)

著者の木村元氏は『教育学をつかむ』など教育学のテキストも執筆されている。本書では、第二次世界大戦以降の日本の学校制度の変遷が記されており、日本の学校の歴史がどのような流れの中で今を迎えているのかを学ぶのに最適な本といえます。 



■専門書

専門書とは、読んで字のごとく特定の専門分野に関して、論述などを行っている書籍のことをいいます。著者も様々で、文章の固さや理解のしやすさもことなり、専門領域によっても変わります。読者としての想定もある程度専門性を持った人物を想定しているため、予備学習が必要となる場合があります。


・山崎準二『教師という仕事・生き方―若手からベテランまで教師としての悩みと喜び、そして成長』(日本標準)

 
憧れを抱いて教職を志す人には必読の書だと筆者は考えています。ライフコースという観点から教師のキャリア形成を描写する内容となっており、夢だけでは語れない教職のリアルな側面を、様々な教員の語りから学ぶことができます。この本を読んだ後では、現場の見え方がまた少し違ってみえることではないでしょうか。  


 ・中塚久美子『貧困の中で大人になる』(かもがわ出版)

知らなかったでは済まされない、日本の格差社会の現状が、報告された一冊です。教師になると必ず直面することになる問題の一つが、この本のテーマである子どもの貧困問題です。自分の被教育体験を思いおこしながら、読むことで理解は深まるはずです。読後ノートが残っていたので、この本を読んでみようかと思われた方はこちらから。



■新聞、雑誌

 新聞については、いわずもがなではありますが、雑誌資料というのも最新の情報を集めるうえでは非常に有効です。その分野の実務家や研究者による寄稿で構成されており、「現場」がどのような問題を抱えながら、その問題と対峙しているのかということを学ぶ上でも有効なツールとなります。


「日本教育新聞」


教育の最前線を知るうえで最も有効な情報源の一つといえます。学校経営や保育、ICT教育などテーマごとに整理された記事は、事象の変遷を抑えるうえでも有効なツールとなります。 


月刊 『教職研修』(教育開発研究所)

教師を管理する立場。校長や教頭などを読者として想定した本雑誌は、学校をマネジメントする立場にある先生方の抱える問題が紹介されています。教団に立つだけが教師の仕事ではなく、学校という職場を複眼的にとらえるうえで、学部生の間から読んで損のない情報媒体といえるでしょう。


月刊誌『教職課程』(協同出版)

全国の教員採用試験に関する情報や、先輩教師からのアドバイスなど教職志望の学生にとっては必読もの。教師としての資質や能力を少しでも成長させたい方は、この雑誌から読んでみてはいかがでしょうか。