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図書館食堂 Bibliotheca: 池波正太郎の「粟ぜんざい」

「いろんな意味でだれも再現をやってなさそう」「味が想像できない」という観点で、小説やエッセイに登場する料理の再現を行いました。

そうざい料理帖 巻二

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池波正太郎 平凡社

中央図書館所蔵

グルメで有名な池波先生は幼少のころからグルメだったんだなあと実感できる一冊です。おしゃれな料理の紹介は余りありませんが、食べてみたいなと感じさせる筆致はさすがです。

関連書籍

https://books.google.com/books/content?id=m0xnPgAACAAJ&printsec=frontcover&img=1&zoom=1

「天ぷらにソースをかけますか?」

野瀬泰申 新潮文庫

中央図書館所蔵

日本料理と一口に言えど、地域によって同じ料理でも大きな差異があります。

この本では日本の食文化の境界線についてリサーチしています。地域によって小豆を液状にしたものを「おしるこ」というか「ぜんざい」というか分布図を示しています。

ちなみに私の出身山口県ではつぶつぶのある液状のものを「ぜんざい」、粒のない液状のものは食べる習慣がありませんが一応「おしるこ」と呼びます。汁気のない粒のあるものを「ぜんざい」とよぶ地域もあるそうですが、私の故郷では「いとこ煮」と呼びます。これが萩地域に行くと同じいとこ煮でも全く別の料理(すまし汁に茹でた小豆やかまぼこを加えた料理)になってしまうので面白い文化の違いだと思います。

関連書籍

「肴」

池波正太郎 編 作品社

中央図書館所蔵

池波正太郎氏が集めた「肴」に関する珠玉の随筆集です。小説家にとどまらず作曲家から歌舞伎役者まで、様々な分野で活躍する御仁の随筆が詰め込まれています。この本を読むと、そんなにお酒が飲めないのに日本酒片手に美味しいものを食べたくなりますね。

関連書籍

「日本の風土食探訪」

市川健夫 白水社

中央図書館所蔵

日本に根付く独特の食文化を支える食品について、歴史や風俗とのかかわりを交えながら解説した一冊です。この本では小豆と粟についての解説が少しあります。研究室の留学生と接していて小豆やあんこについて知らない人がたくさんいるなと感じていましたが、小豆自体東アジア独特の食品であることに驚きを感じつつ少し納得しました。

作品について

デザートに粟ぜんざいと行きましょう。「鬼平犯科帳」シリーズで有名な池波正太郎氏のエッセイ集に登場する料理です。少年の日の思い出として描かれるこのぜんざいは、大人向けの小説にチャレンジしてみたくなった著者が神田の古書店街に担任の先生に連れて行ってもらったときに奢ってもらったものです。自分の考えを押し付けずのびのびと育ててくれる担任の先生っていいですねえ。

 

見られる描写として

・ 小学校高学年の頃に担任のT先生に奢ってもらった

・ お店は連雀町の汁粉屋「竹むら」

・ 江戸時代の汁粉屋はいわゆる「同伴喫茶」というもので男女の逢引に使われた

・ 酒を飲んだ後に食べるとたまらない

・ 香ばしく蒸し上げた粟と滑らかに練り上げた餡のコンビネーション

・ 紫蘇の実の塩漬けが香の物として付いてくる

・ お土産に買った揚げまんじゅうは白粉のにおいがする生き物の口に入る(ケセランパサランではない)

 

調べたところ、「竹むら」というお店は東京の神田にあり、連雀町は淡路町という名前に変わっているようです(千代田区HP)。現在このお店は人気アニメ「ラブライブ」(番組HP)に登場するキャラクターの実家のモデルになっているそうなので、池波先生もお浄土でビックリされていることでしょう。描写から読み取れるように、汁粉は江戸時代の頃には男女の逢引の際に食べられていたようですが、“きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む”状態の私には汁粉屋デートに付き合ってくれる人もいないので、モテない悲しさを酒で呑み込んだ後に作ってみました。現代では粟を食べる機会がほとんどないので、味の想像がつかないですね。

「こしあん」の作り方

正直私はつぶ餡派ですが、このお店は漉し餡を使用しているようなので、漉し餡を作ってみます。このレシピはキューピー3分クッキングHPを参考にしました。面倒な人はスーパーで出来合いのものを買ってください。

 

材料

あずき                  300g (写真は500gです)

グラニュー糖         150g

塩                         ひとつまみ

 

① 小豆を流水で洗ってからザルに上げ、厚手の鍋に水600 mLと小豆を入れ、ふたをして強めの中火にかけ、沸騰したら200 mLの差し水をする。再び沸騰したら2分以上煮てザルに上げ、素早く水洗いする。

② 鍋に小豆と水800 mLを入れて強火の中火にかけ、沸騰後少しずつ差し水をしながら小豆のしわが伸びるまで煮て火を止める。その後ザルにあけて水洗いする。

③ 鍋に小豆と水850 mLを入れて強火の中火にかけ、沸騰したら弱めの中火にし、ふたをして小豆が軽く踊るくらいの火加減で30~40分煮る(新しいおまめさんだと20~30分)。その間小豆が煮汁から出ないように少しずつ差し水をする。決してかきまぜないこと。

④ 小豆が指先で楽に潰れるようになれば煮上がっている。煮上がった小豆をフードプロセッサーに半量ずつかけて粒が見えなくなるまで撹拌する。私はフードプロセッサーを持っていないので、おたまで小豆の皮が細かくなるまでつぶしました。

⑤ 出来るだけ大きなボウルにふるいを載せ、小豆を適量ずつあけ、水をかけながらゴムベラででつぶし、豆の皮だけを取り除く。取り除いた豆の皮は水を加えて混ぜ、同様にふるいで皮を取り除く。

⑥ ⑤で濾した小豆汁に水をたっぷり張り、しばらく置いて沈殿を待つ。沈殿したら静かに上澄みを捨て、新たに水をたっぷり入れる。この作業を水が澄むまで2~3回繰り返す。

 

⑦ ふるいの上にさらしの布巾を広げて⑥を流しいれ、水が切れたら布巾ごと絞り、水けを完全に切る。これが所謂「生餡」。

⑧ 丸底の鍋に水50~70 mLとグラニュー糖を入れ強火にかけた後、沸騰したら生餡を入れて練る。焦がさないように濡らしたゴムベラで鍋肌の餡を落としながら練る。水気が少なくなれば水を足す。

⑨ ヘラで餡をすくい落してみた時に、少し緩いぐらいまでに練り、塩を加える。

 

この作業で大体2時間ぐらいかかりました。腕がすごく疲れます。

「粟ぜんざい」の作り方

きょうの料理HPを参考にしました

 

材料

もちあわ              カップ1/2

水                         カップ3/4

小豆あん              適量

 

①   もちあわを熱湯で1分間茹で、水けをきる。小さなボウルに水3/4カップを入れ、蒸し器で20分蒸す。

② お椀に①で作った粟を入れ、あんこをかける。

 

食べた感想

あんこも甘さ控えめで粟も甘くないので、ぜんざいなのにあまり甘くないです。水分少な目であんこを練ったので、一般的なぜんざいのイメージとは少し離れてしまいましたが、粟がつぶつぶしているのでこの柔らかさでちょうどよかったと思います。ぜんざいの具と言えばお餅や栗などが普通ですが、甘みのない粟もプチプチとした触感と粘っこい口当たりが新鮮で、非常においしかったです。普通のぜんざいより全然甘くないので、甘いものが苦手な方にもおすすめですし、香の物と一緒に食べてもおいしいと思います。2回ほどあく抜きのために茹でているので、あんこの色が薄くなってしまいました。あんこの色が濃い方がお好みの方は2番目の茹でる手順を省いてもいいと思います。今回もCuterや研究室のメンバーに食べてもらいました。感想としては主に、

   ・ 甘さ控えめで美味しい

   ・ あんこが重たい

   ・ 故郷の味を思い出す(粟はネパールでよく食べられる食材だそうです)

   ・ 粟の食感が面白い

   ・ べたべた甘いぜんざいより好き

   ・ 粟より餅の方が好み

   ・ 甘くない(この人の家では市販のあんこに砂糖をさらに加えるそう)

というものがありました。サンドイッチよりは比較的好印象ですね。

また後輩が和菓子屋の倅だったので食べさせたところ、小豆の風味が薄くて甘くない、おやじのあんこの方がうまいとのことでした。

プロに勝てる訳ねーだろ)〇。と内心思いましたが、小豆の風味が薄くなっているのは確かなので、こってりとした小豆の風味を味わいたい人は煮こぼす時間を短くして、⑥の手順を短くしたらいいと思います。

実際に食べに行きました

「竹むら」 (食べログHP)

東京都千代田区神田須田町1-19

東京メトロ丸ノ内線淡路町駅から徒歩3分

入り組んだ路地にお店があるので、少し分かりにくいですが、趣のある古い建物が目印です。残念ながら、仕入れの都合で粟ぜんざいは10月からしか販売していないそうで、食べることが出来ませんでした。その代わりに、普通のぜんざいと揚げまんじゅうを食べました。

「ぜんざい」

口当たりが滑らかな漉し餡で、甘さ控えめです。私が作ったものと比べるとだいぶ餡の色が濃いですね。上品な甘さなので甘いものが苦手な方でもおいしくいただけると感じました。また、箸休めの紫蘇の実の塩漬けは紫蘇の風味があまり強くなく、塩気が効いているため、相乗効果でよりぜんざいが美味しく感じられました。

「揚げまんじゅう」

就職活動でちょうど“白粉のにおいのする生き物”になっていたのでおあつらえ向きでした。これも上品な甘さで脂っこくもなくさっくりしており、何個でも口に入れたい美味しさでした。これはお土産として購入もできます。