Cuter本棚～九大図書館で読めるオススメの一冊～: 雨の日に部屋で読みたい本

梅雨の時期はジメジメしていて心も曇りがち……。
そんな時にはこの本を読んでさわやかな気分になりましょう。この小説は、世界的に有名な小説です。「ぼく」と2人の友人は小学6年生。人の死に興味を抱いた3人は、ある独り暮らしのおじいさんが、もうすぐ死ぬという噂を聞きつけ、その様子を観察しようとします。しかし、毎日おじいさんを観察しているうちに、次第に交流が生まれてきて……。
物語の季節も初夏から夏の終わりにかけてなので、季節的にもぴったりの本です。

このホテルは普通じゃない。なにせ経営者は極道の大親分。お客さんの大半もそのスジの方々。副支配人自らも「普通の客が来るはずない」と言いきる始末。そんなホテルにやって来た“普通”のお客様と普通じゃないお客様の皆さまが、義理と人情のプリズン・ホテルで繰り広げるすったもんだにきっと笑い（ときどき涙）がとまらないはず！長い梅雨が明けたら、あなたもプリズン・ホテルに行きたくなる、かも。

主人公は死神。一週間の調査の後に「人間」に死の採決下すという仕事を淡々とこなすクールな死神。でも、どこか抜けた性格が「人間」とのやり取りに不思議な面白味を醸し出し、深みのあるストーリーを紡ぎだします。彼が「仕事」をするときはいつも雨模様。梅雨のこの時期により楽しめる作品ではないかと思います。キャラづくりが巧みな井坂ならではの短編もの。是非ご堪能ください。

雨、雨、雨。
毎日のように雨が降る梅雨の季節。外に遊びにも行けないし、洗濯物も干せないし、気分は落ち込み気味。
でも！この本を読んで、「雨」のことを知れば、傘をさして外に出たくなるかも！
身近だけどよく知らない、そんな「雨」に関する科学を分かりやすく解説した気象学の入門書。「雨」のことをもっと知れば、梅雨だって好きになれるかも？

雨天に観るDVDを借り損ねたら本を読めばいいじゃない。この噂の名作は大河ドラマを観る感覚でのんびりゆるりと読むと面白い。19世紀初頭のロシアとそれを震わせ惑わすナポレオンの王気は世界史マニアを振り向かせること請け合いで、ロシア語に流行のフランス語が混ざった変な会話は堅苦しく思われる本作のコミカルな側面を覗かせる。作家が全力を投じて描き上げたロシアン・ヒロインのナターシャが君を待つ、多分。

梅雨ならば南米の雨林を想う。1年前のW杯でサッカー日本代表を敗退させた強豪コロンビアは、その地で20世紀文学の代表作『百年の孤独』を書いたスペイン語作家を育んだ。円熟した文豪たちにも青春がある。ガルシア＝マルケスが70年前のその時、カリブの風と熱帯雨林の交錯する地で何に触れ、何を読んで自己を形成してきたかを、日本で学ぶ若者に向けても送りたい。小説の読みごたえを備えた若き日々の自伝。

どしゃぶりの雨で返り血を流し落とす殺人犯…。そんな猟奇的なシーンを冒頭においてこの物語は始まっていきます。三毛猫シリーズなどを読み重ねるうちに、似通った展開や台詞にやっぱり赤川次郎か…と飽きてきてしばらく読んでいなかったのですが、この一冊ではやっぱり赤川次郎だと判断を覆された安定の面白さでした。古い作品ですが、今でも色あせることなく、加速度的に物語に引き込まれていくこと請け合いです。

映画を通してもう一度世に知れ渡った不朽の名作、原本も読んでみませんか？一度の誤り、思いやりのすれ違い…。些細なことが大きく自分や相手の運命を変えていく、まさしく無情も感じさせる本です。なんで！と読んでいて、辛くもなってきますが、その辛さを強いられることになった優しさを知ればこそ、物語の輝きも増してきます。映画では描ききれなかった投獄前のジャン•バルジャンの過去までを知って、もう一度あの歌に触れてもらえたらなとお勧めする重厚な長編です。

非常に長い物語なので時間がたっぷりある雨の日にお勧めです。トルコ初のノーベル文学賞を受賞した作者が描く、連続殺人ミステリーです。イスラム文化の知識がないと分かりにくいなーと思う部分もありますが、千夜一夜物語のような物語の構造が謎を深めていき最後まで犯人が分からないところはお見事です。オスマントルコ帝国期の混沌として鬱屈とした下町の空気感を存分に味わえます。

著者を投影した主人公時任謙作が苦しみながらも模索する姿を描いた長編大作です。作中の主人公の気持ちは一貫して憂鬱なもので喜びにあふれることがほとんどありませんが、そんな状況の中でも相手を許し自分を受け止めていく姿に共感を覚えます。完成に17年を要した“小説の神様”の傑作を時間のある雨の日に読んでみてはいかがでしょうか。