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宇宙入門: 現代の宇宙開発(民間編)

これまで宇宙を舞台に行われてきたことを簡単にまとめてみました

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雑賀 翔平
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本ガイドは図書館TA(Cuter)として勤務した際に作成したものです。
勤務期間 :2017年4⽉〜2019年3月
作成時⾝分:⼤学院⽣(修⼠課程)
作成時所属:九州⼤学⼤学院工学府航空宇宙工学専攻
分野: A12_工学府

現代の宇宙開発(民間編)

これまでの宇宙開発は国家主導のもと行われてきた.我々が普段使っている通信衛星(ケータイとかのあれ)やGPS用の人工衛星,気象予測用の人工衛星などがそうである.

しかし,近年はスペースXやブルーオリジン,Rocket Labといった民間金業がロケットを開発,打上を行うようになった.それに伴い,民間企業や大学の研究室で開発した人工衛星を(以前よりは)気軽に打上が行えるようになった.

最近注目のベンチャー企業を紹介しよう.

  1. ​SpaceX
    ​​実業家イーロン・マスクの出資する会社で,現在最も打ち上げ頻度の高いロケット「ファルコン」を開発した.の社長が月旅行を契約した記事を見た人もいるかと思うが,その会社である.垂直着陸を行える再利用ロケットを開発し,打ち上げ後の回収の動画を配信することで世界中の宇宙ファンを虜にした(私もその一人).火星への移住用ロケットや宇宙旅行用のロケットの開発も行っており,飛ぶ鳥を落とす勢いである.

         
    ファルコンヘビーと呼ばれる現在運用中のロケットの中では最大のロケット
    右の写真は,左の写真中の左右のブースターが打ち上げ後に帰還し,同時に着陸している様子
    (Credit: SapceX)
     
  2. Blue Origin​
    AmazonのCEOであるジェフ・ベゾスが出資しているロケット開発会社.SpaceXと同様に垂直離着陸型の再利用ロケットを開発中であり,将来的な有人宇宙飛行を目指している.SpaceXに追従する会社であり,Amazonの資金を考えるとSpaceXを追い抜くことができるかもしれない.
         
    上部がカプセルになっており,そこに人が乗る(左写真),ロケットの下部は再使用(右写真)(Credit: Blue Origin)
     
  3. Virgin Galactic
    宇宙旅行ビジネスを目指して「Space Ship 2」を開発中.一度,飛行試験中に墜落し,パイロットの死亡事故が起き停滞していたが,現在は開発を再開しており年に高度80kmに到達している(高度80kmはアメリカ空軍の定める宇宙との境界線,NASAやJAXAは高度100kmと定めている).年人を人当たり万ドル(約25万円)で宇宙旅行ができるように計画中であり,すでに700人以上が申し込み済みである.
    私も早く乗りたい.
       
    飛行機に機体を吊り下げ,空中で発射する方式である(左写真真ん中に右写真の機体がぶら下がっている)(Credit: Virgin Galactic)

  4. OneWeb​​
    アメリカの低軌道衛星コンステレーションを計画しているベンチャー企業であり,ソフトバンクも出資している.約600機の人工衛星を使って世界中にインターネット通信網を構築しようとしている.アフリカなどのインターネットが配備されていない地域でも使えるようになるため情報格差が少なくなると期待され,災害時などの緊急時にも対応できるとして注目を集めている.2020年にサービス開始予定.これで海外旅行中のデータ通信費が安くなるとうれしいですね.
    ※衛星コンステレーションとは,多数の人工衛星を群として運用するシステム

    このように地球を包み込むような形で衛星を配置する(Credit: OneWeb)