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★ノーベル化学賞をわかりやすく: 白川英樹

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高分子に電気が流れた!

2人目の受賞者は白川英樹博士です。

受賞理由は「導電性高分子の発見と発展」です。

高分子は私たちの生活のあらゆる場面に使われています。ペットボトルやスーパーの袋、ストッキングに使われるナイロンも高分子です。

かつて、高分子には電気は流れないと考えられていました。そこに電気が流れることを発見したのが白川博士なのです。

電気が流れる原理を簡単に説明します。

ポリアセチレンという化合物は以下のような構造をしています。棒がC(炭素)とC(炭素)の結合を表していて、棒が2本あるところは二重結合と呼ばれています。

この二重結合の位置にはπ電子と呼ばれる電子が存在しています。

何もない状態ではπ電子は動けないのですが、ドーピングという手法で、いくつかのπ電子を引き抜いてやると、スペースが生まれ、他のπ電子が動けるようになります。

電子の動きが電流なので、この結果、ポリアセチレンには電流が流れるようになるのです。

この発見には有名なエピソードがあります。

白川先生の研究室に来ていた留学生が、ある実験を始めました。

その実験では、黒いフィルムができるはずでしたが、できたものは銀色のフィルムでした。

実はその学生、触媒の量を誤って1000倍も加えていたのです。

このとき出来ていたのが、導電性高分子のフィルムであり、この失敗が高分子の世界を一変させる大発見へと繋がっていきました。

大発見は失敗から生まれるといういい例だと思います。

この他にもこの発見には様々なエピソードがあり、詳しく知りたい方は参考文献をどうぞ。

この導電性高分子はいまでは、スマートフォンのタッチパネルリチウムイオン電池など様々な分野に応用されています。