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医学生版検査値の見方〈血ガス編〉: 呼吸不全について

cute guideの臨床検査値の見方などでおすすめしてある本なども読みながらまとめてみました。

拡散能の違い

肺胞からヘモグロビン分子までのガスの拡散のしやすさを拡散能(DL)と言い,CO2が最も高く、O2、COの順に低くなります。

そのため肺胞と血液の間に拡散障害があるとO2の拡散は障害されるが、CO2は正常に拡散するという状態が起こります。

例えば肺炎などで肺胞に水分が貯留すると,PaO2は低下するがCO2は自由に肺胞中へ通過できるので,換気が正常であればCO2は体外に排泄され、肺胞気中にCO2も貯留せずPaCO2も上昇しません。

したがってPaCO2の増減は肺胞換気量を反映していると言えます。

呼吸不全

呼吸はO2の取り込みと、CO2排出の2つの仕組みから成り立っています。

室内空気呼吸時のPaO2が60Torr以下となる状態を呼吸不全といいいます。

呼吸不全では共通の症状としてチアノーゼが見られます。

さまざまな呼吸不全でPaO2は低下しますが,PaCO2が正常な場合をⅠ型呼吸不全,PaCO2が上昇する場合をⅡ型呼吸不全と呼びます。

言い換えればO2の取り込みだけが障害されるのがⅠ型呼吸不全で,O2の取り込みもCO2の排出も障害されるのがⅡ型呼吸不全です。

数値で見てみれば、Ⅰ型呼吸不全ではPaCO2≦45Torr,Ⅱ型呼吸不全ではPaCO2>45Torrとなります。

PaO2の低下の分類

PaO2の低下、すなわち低酸素が臨床上の問題となります。

低酸素には、肺におけるガス交換の低下によって引き起こされる低酸素分圧と組織に対して供給される酸素量が低下する低酸素血症とがあります。

前者はPaO2の低下によって、後者は動脈血酸素含量が低下することによって起こります。

PaO2が低下する原因は大きく4つに分けられます。

肺胞低換気

…肺胞へ達する空気が減少するためPaO2が低下します。この際CO2の排出も減り、PaCO2の上昇を伴うのが特徴です。

拡散機能障害

…肺炎、肺水腫、肺繊維症など肺胞と動脈の間に何らかの拡散障害が存在する場合にみられます。拡散機能障害の場合、O2摂取努力により換気が促進されるので、拡散能の高いCO2は通常より排出され、PaCO2は正常かむしろ低下します。

換気・血流比の不均衡

…慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支喘息のように、気道に様々な狭窄が存在する場合に起こります。気道閉塞が起こるとその支配領域の肺胞には酸素が届かず、そこを通過する静脈血は酸素化されず心臓へ戻り、正常細胞を通過して酸素化された動脈血と混合することで全体としてPaO2は低下します。また全体としてPaCO2は増加します。

シャント

…先天性疾患で見られ、肺を経由しない静脈血が直接心臓へ戻ってしまうためPaO2は低下します。またPaCo2は増加します。

中でも原因として最も多いのは換気血流比不均衡ですが、臨床的にはこの4つが複合した形でPaO2の低下が起こると考えられています。

作成者

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小池 研太朗
連絡先:
本ガイドは図書館学習サポーターとして勤務した際に作成したものです。

勤務期間 :2014年5月~2015年11月
当時の身分:学部5~6年生
当時の所属:九州大学医学部医学科