前回は屋外で行われた作業型ボランティア活動を紹介しましたが、ここではより複雑な参画型ボランティア活動を紹介します。このようなボランティア活動は専門的知識、もしくは高度な技能を求められることがあるので、九大生は 学校で学んだそれぞれの強みを活かす のが可能です。
平成28年度のボランティア活動と言ったら、やはり熊本地震後、被災地に支援した活動でしょう。いろいろなボランティア団体がそれぞれの力を活かしましたが、その中、九州大学も参加しています。九州大学から、医療チームや技術者などの専門家派遣、義援金の募金、各大学との連携協力による物的支援などの支援活動が行われたほか、学生たちも積極的にボランティア活動に参加していました。その中、九州大学大学院芸術工学府・九州大学芸術工学部の学生が自ら被災地支援のプロジェクトを立ち上げて、実施したことで社会に評価された事例があります。以下はそれについての紹介を行いたいと思います。
熊本地震より由布院や阿蘇・黒川温泉等の観光地では観光客が激減し、その影響で現地での土産品販売の不振は続いています。それは観光産業で成り立つ街にとっては大きな課題と思われます。深刻な現状の打開に向けて、芸術工学府・芸術工学部の学生約30人で「やるばい!九州」というグループを結成しました。「やるばい!九州」が小売店を回って雑貨や食品などを定価で購入した上で、都市圏の協力店や団体に送って、販売と宣伝活動を実施しました。
図13:やるばい!九州の活動イメージ(著作権:代表者による承認)
イベント内容は以下の通り(活動の写真は「やるばい!九州」の代表の許可をいただいた上で掲載しています):
①黒川温泉・由布院の物産販売
九州の有名観光地である黒川温泉・由布院の計16店舗から定価で仕入れた商品を、(定価+寄付金)の価格で販売を行います。売上の内、寄付金は熊本地震の復興支援のため、日本赤十字社に寄付します。
②観光地PR活動
実際に観光地に足を運んでもらうために、具体的には、観光パンフレットの配布や、ポスターの掲示等で観光地のPRをします。
図14:FBS福岡放送の「めんたいplus」番組に取材された様子です(著作権:代表者による承認)
図15:九州大学大橋キャンパス構内での活動風景(著作権:代表者による承認)
図16:博多駅前の活動風景1(著作権:代表者による承認)
図17:博多駅前の活動風景2(著作権:代表者による承認)
図18:愛知県での活動風景(著作権:代表者による承認)
物産販売などのイベントは九州大学大橋キャンパス、西鉄大橋駅西口広場、博多南駅前ビル2F入口、及びJR博多駅広場などの場所で複数回が開催され、NHK九州、西日本新聞、毎日新聞など、数多くのマスコミに報道されました。また、ボランティア活動に関する情報は九州大学公式サイト、グラウドファンディングサイトに掲載されています:
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/28436/16_07_14_02.pdf
https://camp-fire.jp/projects/view/6528
今回の活動に参加した学生Rさんに取材して、感想について聞きました:
単純な作業活動と異なって、こういうような参画型プロジェクトでは社会課題の抽出、社会貢献活動の構想から、活動を着実に推進することまで多様な活動が含まれるため、発想力・企画力・実行力 を求められます。また、プロジェクトの参加によって、芸術工学府・芸術工学部で学んだコミュニティデザイン、地域再生に関する知識も十分活かせます。そのため、このようなプロジェクトはボランティア活動とはいえ、学生の社会勉強の一環 としても考えられます。九大では授業、集中講義及びほかの教育活動でこのような機会がありますが、内容はほとんど決められていす。ボランティアをするなら自分で関心のある分野を選んで参加することは、課題解決に取り組む能力の向上につながりますので、自分磨きのチャンスとして見てよいと思います。