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狩野亨吉と九州大学: 類書

近代日本を代表する思想家・教育家・蒐書家である狩野亨吉が、九州大学にもたらした貴重な図書の紹介

類書とは

 類書とは、あらゆる事物に関する文献を部立てごとに分類・整理して収録した書物を指し、今日の百科事典に類するものと言える。
 知識の一大集成としての類書は中国三国時代の魏(3世紀)以降の歴代王朝で文治の象徴としてしばしば勅撰されたほか、高級官吏登用試験である科挙の準備を始めとし、文章(詩文)作成の助けとするために私的に編纂されることもあった。今日的には、ある事物についての故事や関連する詩文、語句を探すのに便利な工具書として、特に人文科学系の研究活動において頻繁に利用される。
※本項目は鹿児島大学准教授大渕貴之氏のご協力のもと、主に氏の著作を参考に執筆しています。

眼科教室旧蔵類書

 医学図書館貴重図書室に所蔵される眼科教室旧蔵の類書は、大西克知が狩野亨吉から購入したもので、総計17部1081冊を数える。目録等が整備されず従来まったく知られていなかったが、明版等貴重な漢籍を含み、後に設立される附属図書館や法文学部はもちろん、全国的に見ても所蔵が少ないものが多く、貴重なコレクションとなっている。
 類書には、一部本草学(中国医学・薬学)の文献が含まれており、その閲覧を目的に収集されたとも考えられるが、当時の眼科教室が医学書のみならず、多種多様な分野の図書を収集していた事実からは、むしろ類書の百科事典的性質に着目しての選書であったと考えられる。

三才図会―中国の絵入り百科事典―


 
 『三才図会』 医学図書館所蔵 眼科/和書3297-3376号

 明・王圻編。万暦37年(1609)刊。106巻80冊。「三才」すなわち天・地・人のあらゆる事象について、絵図と文章でもって解説する。江戸時代を代表する類書である寺島良安『和漢三才図会』は、『三才図会』を範としている。
 九大蔵本は、明代の後印本とみられる。『図書原簿』によれば、大正10年3月29日の受け入れであり、購入価格は255円(当時)であったことがわかる。

参考:国立国会図書館所蔵『三才図会』(国立国会図書館デジタルコレクション)