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細胞培養入門: 【おまけ】水の種類

細胞培養をこれから始める人に、培養の基本を解説します! 実験で使う水の種類や無菌操作についても説明します!

バイオ実験で用いる水

試薬ではありませんが、「水」も実験をする上で重要なものです。

皆さんが実験で使用している「水」はどんなものかちゃんと知ってますか?

実験で使用する水には、

水道水イオン交換水蒸留水純水超純水滅菌水などがあります。

目的に応じた水を使用しないとうまくいかないこともあるので、

違いを知って使い分けましょう!

 

水道水

水道局で管理、上水道で浄化され、水質基準値*に基づいた品質管理をとおり、水道管によって

家庭や事業所に供給される水です。実験では、洗剤によるガラス器具の洗浄に使います。

ただし、塩素などが微量ふくまれることに留意しましょう。

 

イオン交換水/脱イオン水

水道水からイオン交換樹脂によりイオンを除去した水のことです。

ガラス器具を水道水で洗浄した後のすすぎに使用します。

より厳密な実験を行なう場合は純水ですすぎましょう。

 

蒸留水

イオン交換水を沸騰・気化させてできる蒸気を冷却して得た水のことで、

比抵抗が1~3 MΩ・cm**程度の水です。

バクテリアの培養、タンパク質の定量、糖分析などの一般的な生化学実験に用います。

一般の実験ではこの水を用いることが多いです。

 

純水

逆浸透膜処理、蒸留処理、イオン交換処理などの方法を用いてイオンを除去し、

比抵抗値1~10 MΩ・cm程度の水を一般的に純水と呼びます。

酵素反応やHPLC(高速液体クロマトグラフィー)、DNA実験などバイオ実験で

広く用いられます。電気泳動や銀染色でもこの水が使用されます。

 

超純水(ミリQ***

品質管理されたイオン交換樹脂処理、蒸留処理、MilliQ装置処理、逆浸透膜処理などを

組み合わせて処理され、比抵抗値17 MΩ・cm以上の純水のことを特に超純水という。

電解質、有機物ともにほとんど含まれていない水です。

超純水を滅菌し、動物細胞培養、DNA、RNA実験に用います。

 

滅菌水

純水、もしくは超純水をオートクレーブ滅菌したものです。

動物細胞培養などで厳密な無菌操作が必要なときに使用します。

 

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*水質規格基準値

厚生労働省が定めている

水質基準項目

詳しく知りたい方はこちら

**Ω・cm

比抵抗値、

すなわち電気の流れにくさのこと。

この値が高くなると電気が

流れにくく、水としての純度が

高いことを示します。

***ミリQ

MILLIPOREという会社の

超純粋製造装置の名前です。

その装置で作られた超純水を

ミリQ水といいます。

実験室等で非常に良く使われ、

超純水と言えばミリQ水、

ミリQ水と言えば超純水、

というように

超純水の代名詞的になっています。