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動物実験の基礎(マウス): マウスの生活環

動物をいたわりましょう

マウスの生活環

マウスの生活環(一生)はどんなものでしょうか。

一般的に、マウスは約2年で寿命を迎えますが、マウスの寿命もヒトと同様に、個体差や系統差が大きいと考えられています。

胚発生

性成熟を迎えた雌と雄を同じケージに飼うと、最初は雄は雌に拒絶されるが、次第に仲良くなり寄り添うように暮らすそうです。

ヒトでも同じでしょうか? 仲良くなれるかは分かりませんが、初めは警戒されますよね。

生活環の始まりである受精から、マウスの胚発生を見てゆきましょう。

発生の時間的経過

マウスの妊娠期間は約20日(通常19日)で、急速な胚発生がマウスの特徴です。

ハツカネズミ(二十日鼠)という言葉はここから来ています。

   

   

① 受精後(受精日(夜中)を0日とする)、受精卵は2、4、8細胞期胚へと卵割が起こり、8細胞期以降は各細胞が密着するようになり、桑実胚、胚盤胞へと卵割が進む。受精から胚盤胞までは初期胚発生と呼ばれる。

② 受精後4日目に子宮へ着床する。着床後、母親と胎仔のそれぞれに由来する組織が細胞レベルで密接に相互作用して胎盤が形成される。

③ 9日胚ごろに前肢が出現。肺や肝臓の原基が現れる。

④ 10日胚ごろに後肢が出現。(肺や肝臓の原基が現れる。)

⑤ 13日胚までに各器官や臓器が形成される。

⑥ 16日胚までに指が発達する。

⑦ 各器官、各臓器の分化が進み機能的になっていくと同時に胎仔が成長する。

  19日-20日目に誕生する。

マウスの成長

出産

昼夜関係なく出産は始まり数時間程で終了する。

 

産後直後

雌マウスは仔に付着した胎盤と羊膜をきれいに食べて産後処理を行う。

注意しなければならないことは、出産直後は母親が最もデリケートな時期なので、ストレスを与えないように細心の注意を払う必要がある。産後の処理を行わなかったり、仔を食殺したりする可能性が高い。この時期は、ケージの清掃などのマウスとの接触は避け、人間の臭いがつかないように気を付ける。

仔育ては母性行動と呼ばれ、新生仔をなめる、巣の近くに新生仔を持ち運ぶ、おおいかぶさって授乳するなどの行動が見られる。

 

生後3~4日

耳が開くが未発達。

 

生後5~6日

体が黒みを帯び、体毛が生え始める。

 

生後12~13日

目が開き、歯が生えそろい、四足歩行が可能となる

 

生後14日

母乳とともに固形飼料も食べ始め、生体マウスと同じような行動を示すようになる。

 

生後3~4週

完全に離乳するので、雄雌を分けて飼育する。

雄は、生殖突起と肛門の距離が長く、被毛が見られるのが特徴。

雌は、生殖突起と肛門の距離が短く、被毛が見られないのが特徴。

大人となる。

 

交配期間

雄で生後8週齢程度、雌で生後5週齢程度以降で性成熟に達する。以降、交配を行うことができる。

つまり、世代時間は3か月程度しかかからず、マウスがモデル動物として有用であると考えられる理由の一つとなっています。

交配を行うことができる期間は系統差や個体差が大きく、1年未満で停止することが多いようです。

性周期

マウスは4~5日の短い性周期をもつため不完全性周期動物に分類されます。一方、ヒトは3~4週の長い周期のため完全性周期動物に分類されます。

 

中枢からの指令で黄体形成ホルモン(LH)の一過性の大量分泌が誘起されて排卵が起こります(自然排卵)(発情期)。

雌の性周期は、「発情前期」「発情期」「発情後期」「発情停止期」の4期で、

性周期が5日の場合は、発情期または発情休止期のどちらかが1日延長します。

 

雌が雄を受け入れるのは発情期です。とくに夜間に発情が盛んになり交尾を行います。

マウスは分娩後12~18時間に発情がみられ排卵が起こるため(後分娩発情)、この期間に交尾が行われて妊娠すると、授乳と妊娠が同時に進行すことになります。