Cuter本棚～九大図書館で読めるオススメの一冊～: Let's Read Foreign Books!（日本語版）

『竹光始末』は、江戸時代を舞台に市井の中で生きる武士の姿を描いた、全6篇からなる短編集です。
多くの時代小説が、骨太で勇ましく粋な武士像を描くのに対して、本書の武士は市井の中で生きる生活者であり、悪く言えば地味、よく言えば人間味があります。例えば、表題にもなった「竹光始末」は浪人・小黒丹十郎の切ない就職活動記であって、彼の言動はサラリーマン的な哀しさとユーモアに溢れています。
江戸に生きる人々の生活感を実感できる一風変わったサムライ物、ぜひ一読を。

―農場で酷使されていた動物たちは，「動物主義」の理想に燃え，人間を追い出し自由の身となった―　
オーウェルは若き日に従軍したスペイン内戦の反乱軍の中で，同じ理想を抱いた人々の，壮絶な内部闘争と挫折に直面した．
このおとぎ話の動物たちの理想も，結局挫折する．しかし，「イギリスのけものたち」の歌は,決して消えることはないだろう．

「月日は百代の過客にして、行きかふ年も又旅人也」
奥の細道のこの一節は、中学校や高校の授業できっと一度は目にしたことのあるフレーズだと思います。
では、これを英語で表現したらどうなるのでしょうか？
そもそも、「俳句」を英語で表現したらどうなるのでしょうか？
日本語とはまた違った俳句の「趣」が見えてくるかもしれませんよ！

チャーリーとチョコレート工場で有名な作者の児童小説で、天才なのに能力を発揮出来ない鬱憤で超能力が使えるようになった少女マチルダの物語です。
マチルダが悪い大人たちをやっつける痛快な物語ですが、その根底にあるのは、ネグレクトやアダルトチルドレンなどの現代に巣食う病魔達で、明るいながらもこのような社会問題を混ぜてくる作者の技量に驚きます。

「もしある教師にこのことができたならば、わたくしはここでもこのようにいいたくなる、かれは『道徳的』な力に仕えているのであり、明確さと責任感を与えるという義務を果たしているのである、と。」
我々は学問に価値判断の正当性を求め、判断を行うことの責任を忘れてはいないだろうか。
ウェーバーの講話は今なお幻想にとらわれがちな我々に現実へ立ち返る方途を指し示してくれます。

アイルランド出身のノーベル文学賞劇作家ジョージ・バーナード・ショー(1856-1950)は映画『マイ・フェア・レディ』の原作者として有名ですが、『聖女ジョウン』(1923年)では世界的な知名度を誇る15世紀フランスの英雄ジャンヌ・ダルクを主題にします。
戯曲は小説よりも余白が多くて読みやすく、気軽にショーが考えたジャンヌに触れることが出来ます。

英語の文学は英米だけで生み出されているわけではありません。
ナイジェリアの作家チヌア・アチェベ(1930-2013)は、世界中で最もよく読まれている小説の中の一冊である『崩れゆく絆』(1958年)において、伝統的な部族社会が19世紀のイギリスの進出によってどのように崩壊していったのかを、帝国主義や部族の因習双方の問題点に気を配りながら描いています。

弱冠10歳で英語短編小説をスペイン語訳した、アルゼンチンの怪物作家ホルヘ・ルイス・ボルヘス(1899-1986)。
書名にもなった短編小説集『砂の本』もいいですが、今回は同録の『汚辱の世界史』を推します。
『忠臣蔵』の吉良上野介も登場する世界のマイナー悪党列伝で、どの言語で読んでも語彙が増えること請け合いです。英訳でも手軽に読了できます。

羊飼いのサンチャゴは、ある日「エジプトに宝物が隠されている」という夢を見ます。そして宝物を目指して旅を始めるわけですが、お金を全部奪われるなどの数々のトラブルに見舞われ、旅は難航します。
幾多の困難を乗り越え、ようやくたどり着いた先で彼がみたものとは？
結末は是非みなさん自身で確認してみてください。

チョコレートがない世界というのを想像できるでしょうか？ある国の選挙で勝利を収めた「健康健全党」は「チョコレート禁止法」を出して、甘い物を世の中から一掃していきます。そんな中、二人の少年がチョコの密造を始め、当局と戦いを繰り広げます。
一見愉快な物語ですが、様々な示唆も与えてくれる本です。

クリスマスと言えば？と言われて一番に思い浮かぶ本です。どけちなスクルージがあることで心を入れ替え、楽しいクリスマスを過ごすまでのストーリーが描かれています。
まだまだクリスマスには早いですが、約5ヶ月後のクリスマスを楽しみにしながら読むのはいかがでしょう。