ここまで読んでいただきありがとうございました!ここからは、私が実際に執筆した卒論の構成について紹介したいと思います。
1. 諸言
研究におけるintroductionの部分であり、研究の背景や目的などを書きます。ここがしっかり書けるか・書けないかで研究のクオリティーが大きく左右されます。この項目を充実させるためには、先行研究や関連する論文をしっかり読み込んで、自分の研究の立ち位置を理解することが大切です。
2. 実験手法
どのような実験体を用いたのか、そして酵素処理してプロトプラストにする過程や、得られたプロトプラストを培養する時の培地条件、顕微鏡での観察条件などを書きました。実験手法はできる限り詳しく書いておいた方が、自分や他の人が後から読み返したときに役立つので、しっかりと項目を分け、試薬の濃度条件等含め丁寧に記述することをオススメします。また、場合に応じて表などを活用して、見やすい形にするのも大事です。
3. 結果及び考察
ここでは、得られた実験データを図またはグラフの形にまとめて載せました。本研究では、この項目は主に顕微鏡で撮影した画像データが中心でしたが、必要に応じて画像データから特定の情報を抜き出し、培養経過日数における細胞の生存率や細胞壁再生率などをグラフで表しました。データは見せ方によって、何通りもの記述の仕方ができます。「自分はこのデータから何を伝えたいのか?」ということを考え、それに応じて表やグラフ等を活用して、自身の伝えたいことを一番伝わりやすい形で見せることが重要です。
そして、本研究から得られたデータと、先行研究で既に報告されているデータを照らし合わせながら、植物進化についての考察を行いました。具体的には、「本研究から藻類は○○であることが分かり、先行研究から陸上植物は△△であることが報告されている。従って、両者において××の点で異なるため、藻類と陸上植物では進化的に大きな隔たりがある。」といったように、本研究で判明した部分と、先行研究で報告されている部分を比較し、どのような点で異なるかを明確に記述しました。私のように比較対象となるものがある場合、「なぜ異なると言えるのか?(もしくはなぜ同じといえるのか)」について理由を踏まえながら分かりやすく述べることが大事です。
4. 総括
卒論のまとめの部分です。「この研究ではどのようなことを行ったのか / どのような結果が得られたのか / どのような考察を行ったか」について簡潔に記述しました。
引用文献
卒論を執筆する上で、引用した文献をここに載せます。
謝辞
協力してくださった研究室の先生方や先輩方、また九大の研究教育支援センターの皆様に、ここで感謝の意を述べさせていただきました。
卒論のように、とっても長い文章を書くのは全員初めてだと思います。最初は分からないことだらけで右往左往すると思いますが、まずは研究室の先輩方が書いた卒論を読んでみましょう!「なるほど、こんな感じで書くのか」と大まかな部分が掴め、自身の卒論に対するイメージが湧きやすくなると思います。
卒論を執筆する際には、細かく記述することが大切になってきますが、例えば家族や友達から「どんな研究してるの?」と聞かれたときに相手に伝わりやすいように内容をかみ砕いて説明するということも時には必要になってきます。ここで専門用語ばかり使って説明しても、聞く側にとっては「???」となってしまいます。分かりやすく伝えるためには、自分の研究内容について深く理解することが必要不可欠です。
「書く」だけではなく「話す」ことで自分の頭が整理され、そこから新たな気付きを得られることもあります。研究室以外の人たちとも積極的にコミュニケーションをとって、自分の視野を広げる姿勢を持ち続けましょう!