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オーロラの不思議: オーロラってどんなもの?

オーロラといえばカーテン状の緑色の光を思い浮かべると思いますが、実はオーロラはいろんな表情を持つ現象です。今回はそんなオーロラの不思議を紹介したいと思います。

オーロラとは

みなさん、オーロラはどこで見えるかご存知ですか?

 

フィンランド、カナダ、ノルウェーなどを思い浮かべた人が多いのではないでしょうか?

オーロラはフィンランド、カナダ、ノルウェー、アイスランドなど地球の極地(緯度60°~70°)の限られた地域で頻繁に発生します。特に、オーロラが見える領域のことをオーロラオーバルと呼んでいます。

 

https://japaneseclass.jp/trends/about/北極圏より引用、加筆

 

さらに、オーロラが見える高度は約80km〜500kmほどの、『電離圏』と呼ばれる領域に限られます。

 

オーロラはなぜこのように限られた地域、高度で見えるのでしょう?

そもそもオーロラは何が原因で光っているのでしょう?

オーロラは大気の発光現象

オーロラが起きる条件:『大気』『太陽風プラズマ』『磁場』

『大気』『太陽風プラズマ』の衝突

オーロラは、簡単に言うと太陽から飛んできた電気を帯びた粒子(プラズマ)が上空の大気と衝突した時に引き起こされる放電現象のことです。

上空は、下から対流圏成層圏中間圏電離圏という4つの領域に分類され、大気中の組成はそれぞれの高度で異なります。オーロラが見えるのは高度80km~600km程の電離圏という領域(スペースシャトルや国際宇宙ステーションがいる高度くらい)で、電離圏には主に窒素分子(N2)、酸素分子(O2)、酸素原子(O)などが存在しています。

上空の構造。オーロラは電離圏で見られる。 上空の大気成分。縦軸が高度で横軸が各原子や分子の密度。電離圏(80~600km付近)には、窒素分子(N2)や酸素分子(O2)、酸素原子(O)が多く存在する。

http://aurora3d.jp/aurora_model/より引用


太陽で、フレアや CME(コロナ質量放出)などのエネルギー放出現象が起こると、太陽風に乗ってプラズマが地球まで運ばれ、大気圏に突入します。このプラズマが電離圏に存在する窒素分子・酸素分子・酸素原子などと衝突して発光したものがオーロラです。だから電離圏で見えるというわけです。

(発光過程についてもっと詳しく知りたい人は、こちらのページで詳しく説明します)

 


つまり、オーロラができるには『太陽風プラズマ』と『大気』の衝突が必要ということです。

皆さん、ここで疑問が生じませんか?

『太陽風は地球全体に当たるのだから、オーロラは地球全体で見えるはず』

しかし実際オーロラをよく観測するのは、北欧、カナダの北部、アラスカなど極域を取り囲むベルト状のエリア(オーロラオーバル)に限られます。なぜ『オーロラオーバル』で頻繁にオーロラが見られるのでしょう?

地球を守る磁場

②地球を守るバリア:『磁場』

https://weathernews.jp/smart/star/aurora/mechanism.htmlより引用

地球の周りには、“磁気圏”と呼ばれる磁場のバリアがあります。このバリアがあると、プラズマは地球表面に到達することができません。ただし、この磁気圏も太陽風の影響全てを防ぐことができるというわけではないんです。

プラズマは、以下の2つの経路で地球に到達します。

①磁気圏にぶつかった太陽風の一部は、進路を変えて南や北に向かい、極域の隙間から地球に侵入する。(図の『一部の太陽風が侵入』の部分)

②一部の太陽風のエメルギーは地球の夜側にある、磁気圏尾部という領域に蓄えられ、夜側から地球にエネルギーを運ぶ。(図の『地球を回り込んだ太陽風』)

この2つの影響により、 極域のみにプラズマが侵入し、限られた領域でオーロラが観測されるというわけです。

図を見ると北だけでなく、南にも太陽風が到達していることがわかります。したがって、オーロラは北だけでなく、南でも同じように発生しています。しかし、あまりそのような話を聞かないのは、南のオーロラオーバル付近に陸地があまりなく、地上から観測されていないからです。