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オーロラの不思議: オーロラは日本でも見える!?

オーロラといえばカーテン状の緑色の光を思い浮かべると思いますが、実はオーロラはいろんな表情を持つ現象です。今回はそんなオーロラの不思議を紹介したいと思います。

日本で見えるオーロラ

オーロラといえば、南極や北極、北米や北欧といった一部の国と地域でしか観測できない非常に貴重な現象の1つです。その絶景を一目見ようと、遠く離れた国からわざわざ観測可能な地域へと訪れる観光客も多くいます。

そんな神秘的なオーロラ、実は日本国内でも観測できることをご存知でしょうか?

意外と知られていない日本から観測できるオーロラについて紹介します。

 

下の写真は、2004年11月8日 に北海道で撮影されたオーロラの写真です。

http://www.astroarts.co.jp/news/2004/11/09aurora/index-j.shtmlより引用

ぼんやり赤く光っているのがオーロラです。

一般的なオーロラは、極点に近い高緯度地域で観測されるものです。一方、日本国内で観測可能なオーロラは「低緯度オーロラ」と呼ばれています。低緯度オーロラとは、その名の通り低緯度地域からでも観測可能なオーロラのことです。

 

基本的なメカニズムは、高緯度地域で発生するオーロラと同様です。(詳しくは『オーロラってどんなもの?』の章を参照)

しかし、太陽からやってきた太陽風によって「磁気嵐」と呼ばれる大きな磁場の乱れが起こると、通常のオーロラよりも 一層大規模なオーロラが発生し、結果として高緯度地域のオーロラが日本のような低緯度地域からも観測できるようになると考えられています。

そして一般的なオーロラとの大きな違いは、その色が赤いという点。

https://auroranavi.com/aurora/breakup.htmlより引用

オーロラは高度に応じて色が変わり、高度が80kmは紫やピンク、高度100kmは緑、高度200kmは赤く発色します。低緯度地域から観測可能なのは、オーロラの中でも高度200km以上の赤色の部分だけというわけですね。

なぜ高度で色が変わるか、については『オーロラの種類』のページ後半の『オーロラの色』の項目で説明しています。

歴史文献から探る日本のオーロラ

日本で観測される低緯度オーロラは、過去の文献からも確認できます。

下の写真は、 江戸時代、京都・東羽倉家の日記から発見されたオーロラの絵図です。

過去の研究では、この日記の記述をもとに京都からオーロラがどう見えるかをシミュレーションしたところ、この絵図と同じ形を再現することができたと報告されています。

[参考:Kataoka R, Iwahashi K (2017) Inclined zenith aurora over Kyoto on 17 September 1770: graphical evidence of extreme magnetic storm. Space Weather 15:1314–1320. https://doi.org/10.1002/2017SW001690]

この他にも、オーロラは様々な形で日本の歴史に登場します。

オーロラは古くは、赤気と呼ばれ、日本書紀の推古天皇(620年)や天武天皇(682年)の時代から江戸時代に至るまで、京都や江戸などで北の空が赤く光る現象が報告されています。

現代になってからも、北海道などで北の空が赤くなる現象が報告されており、山火事と間違えられて消防車が出動したりしています。

このような目に見えるオーロラが見える確率は、 北海道付近では11年に1度くらいとされています。これは太陽活動が11年周期であることと関係しており、太陽活動が活発な時ほど起こりやすくなります。次見られるのはいつ頃でしょう?ぜひ調べてみてください