GISがどういったものか,実に簡単に紹介したいと思います。
GISを使って土地利用の変遷について調べてみましょう。
地形と地質の分布を比較して,その関係について考察してみましょう。
国勢調査の結果をもとに,人口の分布とその密度を見てみましょう。
実際にGISを使うために必要なソフトウェアについて簡単に紹介します。
GISとはGeographic Information Systemの略称で、日本語では地理情報システムと呼ばれています。GISはさまざまな空間的な情報の作成・管理・分析・表示をおこなうための情報システムであり、私たちの日常と非常に深い関わりをもっています。
たとえば、GPSと連携したカーナビゲーションや携帯電話のサービスなどは日頃からお世話になっている人も多いでしょう。それ以外にも、ガスや電気、道路や鉄道の社会インフラの整備・管理や、洪水や斜面崩壊など自然災害の備えとしてもGISは利用されています。
ほかにも、人口動態や土地利用の変化、自然地形の形成プロセスの分析といった人文・自然地理の分野、産業集積の分布分析や用地の立地評価といった社会・経済の分野、水循環の分析や生物多様性の評価といった生物・自然の分野など、さまざまな分野で活用されています。
GISでは、ある空間的な情報を一枚のレイヤ(層)として表現します。標高や河川、道路や建物などの空間的な情報をそれぞれ一枚のレイヤとして、それらのレイヤを重ね合わせることで現実空間を表現します。
下の例は災害対策における地理情報の重ね合わせ例です。
この例では、航空写真などの基盤となる地図データの上に、防災施設の分布、老朽木造住宅の分布などの地理情報がレイヤとして重なっていることが確認できます。 今、この地図上のどこかで大規模な火事が起こったとします。そのことを他の人に知らせるとき、○○区××といった住所で伝えることは確かに可能です。しかし、その地名が分からない、自分の場所との関連性がわからないといったことは十分にありえます。それよりも地図の上に火災が起こった場所を表示したほうがずっとわかりやすくなります。 さらに、緊急車両のために、道路や橋などが広く通行しやすい道を提示する、消火栓などの消防施設を表示する、被災箇所から近い病院を表示するなど、航空写真だけでは分かりづらい、確認できない情報を提供することで、円滑な救助・消火作業の手助けを行うこともできるでしょう。 また、それらの情報とインフラ・防災施設などの情報を組み合わせることで、どこにどのような施設が必要か、どの地域の住民をどこの避難所に避難させるべきかなどといった防災計画を立案する際に,さまざまな情報を提供することができます。 |
<国土交通省国土政策局作成「GIS 地理情報システム」パンフレットより> |
このように1つ1つの状態ではそれだけの意味しか持たなかった情報が,位置に関する情報をもとに他の情報と重ね合わせることでさまざまな情報と関連性を持ち,新たな情報を提供することが可能になります。
さて,GISがどんなものなのかざっくりとした説明でしたがご理解いただけましたでしょうか?地理情報システムと聞くとなんだか複雑なモノに聞こえるかもしれませんが,簡単に言ってしまえばさまざまな情報を分析・加工・表示できる高度な地図といったところでしょうか。
では,次に実際にGISを用いて土地利用の簡単な分析をやってみたいと思います。