よく紛らわしいといわれるレアアースとレアメタルの違いについて説明します。
レアアース(希土類元素)とは、スカンジウム,イットリウム,ランタン,セリウム,プラセオジム,ネオジム,プロメチウム,サマリウム,ユウロピウム,ガドリニウム,テルビウム,ジスプロシウム,ホルミウム,エルビウム,ツリウム,イッテルビウム,ルテチウムの17元素の総称のことで、こちらは化学的性質が似通っていることからグループの名前が付けられています。
一方のレアメタルは、リチウム,ベリリウム,ホウ素,チタン,バナジウム,クロム,マンガン,コバルト,ニッケル,ガリウム,ゲルマニウム,セレン,ルビジウム,ストロンチウム,ジルコニウム,ニオブ,モリブデン,パラジウム,インジウム,アンチモン,テルル,セシウム,バリウム,ハフニウム,タンタル,タングステン,レニウム,白金,タリウム,ビスマスの30元素に、レアアースである17元素を足した計47元素の総称です。レアメタルは経済産業省が工業的に重要であり、かつ製錬が著しく困難あるいは希少性の高い元素を指定したものです。国際的にレアメタルという単語は、希少金属一般を指すこともあり、世界共通認識ではないようです。またこれに類似する言葉としてマイナーメタルの方が通じるという意見もあります。
金属資源とは鉱物資源のうち、金属の抽出を目的として採掘されるものを指します。たとえば社会科の地理で学んだ鉄鉱石や銅鉱石等がこれに当てはまります。実はかつて日本は金属の輸出がさかんであり、中世まではこれらの輸出国でした。ただし、いずれも小規模な鉱床が多く、品位は高くとも量が少ないという理由で閉山が進み、現在では4~5の金山を残すのみとなっております。最近では海底に多くの金属資源が見つかっており、経済水域の広さでは世界9位の日本にとっては大きな追い風ではないでしょうか。
福岡と鉄は切っても切れない仲ですね。八幡製鉄所は本邦初の西洋式の製鉄所でした。現在日本は、もっぱら豪州やブラジルから原料を輸入しています。現在の鉄鋼の原料は酸化鉄ないし水酸化鉄であり、これらは縞状鉄鉱層と呼ばれる太古の昔に酸化還元反応で沈殿した広大な鉱床中から採掘されます。このタイプの鉱床は豪州やブラジルに多く存在してます。
豪州の縞状鉄鉱層(九大博物館http://www.museum.kyushu-u.ac.jp/より)
非鉄金属とは文字通り「鉄」を除く全ての金属を指します。この章では、
ベースメタル(コモンメタル、卑金属)
レアメタル(希金属、マイナーメタル)
プレシャスメタル(貴金属)の順に書籍を紹介します。
ベースメタルは工業の基礎となる大量に必要となる金属であり、多くの場合に銅、鉛、亜鉛、アルミニウムを指すことが多いです。鉄は入ったり入らなかったりするので、文意には注意してください。
レアメタルの定義は、実は国や時代によっても異なり、より工業的に重要かつ、希少あるいは製錬に困難な金属がレアメタル(海外ではマイナーメタルと呼ばれることが多いようですが)に指定される傾向が強いようです。日本では47の金属元素をまとめてレアメタルと呼んでいます。
プレシャスメタルは金、銀、白金族を指すことが多く、これらは宝飾品や、触媒、電子材料に使われます。
主な金属の上位産出国 外務省(http://www.mofa.go.jp)より
地下埋蔵資源のうち、金属でない原料資源を非金属資源と呼びます。夏の風物詩の白球を追う球場に描かれる白線やお墓参りの際にお世話になるマッチの原料も元をたどるとこれらに行きつきます。他に時計用の水晶や宝飾用のダイヤモンドなどもこれらに含まれます。
非金属資源の例 独立行政法人日本原子力研究開発機構JAEA ( www.jaea.go.jp)より
石灰も我国が自給できる資源の一つです。実は結構身近に石灰鉱山はあったりします。福岡の平尾代にある東谷鉱山などはその一例です。他に、四国カルスト、山口の美祢周辺、中国山地、埼玉の秩父周辺などにもあり、最近の耐震需要で、減産予定であった傾向から息を吹き返したもようです。
石灰鉱山 資源・素材学会(http://www.mmij-kyushu.com/)より
火薬や肥料等の原料になる硝石を工業的に採掘できる鉱床がこのグアノです。硝石は火薬の原料ですので、これを巡って戦争が起きることもありました。有名な例では南米の硝石戦争(19世紀の太平洋戦争)があげられます。硝石の主成分は硝酸ナトリウムや硝酸カリウムです。グアノの場合海鳥の糞が原料です。ちなみにグアノではありませんが、同じ硝石の生産では日本では利家で有名な加賀前田家が江戸時代にさかんに生産していました。
グアノ wikipedia (http://ja.wikipedia.org)より