肝疾患の評価で最初に行われる代表的な検査項目には
血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アルカリホスファターゼ(ALP)、直接および間接ビリルビン、アルブミンの測定、およびプロトロンビン時間の評価が含まれます。
これらの検査値のパターンにより、肝細胞性か胆汁うっ滞性か、急性か慢性か、あるいは肝硬変や肝不全の存在も知ることができます。
結果を参考にして、さらなる検査としてɤ-GTP、HCV抗体,HBs抗原,IgM型HBc抗体,抗ミトコンドリア抗体、p-ANCA、抗核抗体、抗平滑筋抗体などを調べたりします
肝臓が今どういった状態かを表す検査値をまとめてみると
肝細胞の壊死を反映するもの…AST,ALT, LDH
肝細胞の合成障害度を反映するもの…アルブミン、コリンエステラーゼ、凝固因子、総コレステロール、TG、分子鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸比
胆汁うっ滞を反映するもの…ALP、ɤ-GTP、直接ビリルビン、総コレステロール
肝での取り込み・排泄障害を反映するもの…ICG(インドシアニングリーン)試験15分値
というようになります。一例を出すと肝炎では,AST,ALTで現在の肝炎の活動性を見て,アルブミンやビリルビンで肝臓の障害がどれくらいかを見るという見方をします。
前項で肝炎の活動の程度と肝臓の障害の程度と言いましたが,肝障害度を表す便利な指標があるのでご紹介します。
(肝臓の機能を合わせて考えてみると、それぞれの項目が入っている意味もわかって、分かりやすいのではないでしょうか?)
肝臓の機能を表す指標に肝障害度とChild Pugh分類というものがあります。
肝障害度分類は日本肝癌研究会がまとめたもので,AからCの3段階で各項目の重症度を求めて2項目以上があてはまる肝障害度に分類します。
もし2項目以上当てはまるものが複数あった場合はより高い肝障害度に分類することになります。
後述のChild-Pugh分類と異なり,肝障害度が進んでから現れる脳症の項目に変わって,肝細胞の障害を最も表すICG15%値が項目に入っています。
(出典:日経BP社「肝がんとともに」より http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/cancernavi/kangan/doubt/post_5.html)
Child-Pugh分類は欧米で用いられている肝臓障害度評価で,各項目のポイントを加算した合計点によってA(5〜6点),B(7〜9点),C(10〜15点)の三段階に分類を行います。
(出典:日経BP社「肝がんとともに」より http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/cancernavi/kangan/doubt/post_5.html)