問診の基本は”OPQRST”や"SAMPLE"といったもので覚えるとよいと言われます。
O(onset) 発症様式
”何をしている時に起きましたか?”
P(pallilative/provocative) 憎悪,寛解因子
”どうすれば痛みますか?どうすれば和らぎますか?”
Q(quality/quantity) 症状の性質,ひどさ
”どんな痛みですか?どれくらいの痛みですか?”
R(region/radiation) 場所,放散の有無
”どこが痛いですか?どこに痛みが広がりますか?”
S(associated symptom) 随伴症状
”他に何か症状はありませんか?”
T(time course) 時間経過
”痛みはいつからですか?痛みはどれくらい続いていますか?”
SAMPLEは救急などで使うことも多いものです。
S(signs/symptoms) 主訴
A(allergies) アレルギー
M(medications) 薬歴
P(pertinent past medical history) 既往歴
L(last oral intake) 最後に食事をした時間,食べたものや量
E(event) 現病歴、この症状が出てるのに思い当たることはないか
問診では飲酒、薬物、個人の習慣、性行動、海外旅行、黄疸や危険因子を持った人との接触、輸血や血液製剤の使用歴、職業、針刺し、肝疾患の家族歴などを尋ねることが肝疾患だと診断するアプローチにつながります。
飲酒→アルコール性の肝障害
薬物→薬剤性肝障害
海外旅行,危険因子を持った人との接触,輸血や血液製剤の使用歴, 針刺し,肝疾患の家族歴→血液を介した肝疾患の水平感染,垂直感染(B型肝炎,C型肝炎など)
5年になってようやく痛感したことですが,なぜこんな問診をするのか,疑ってる病気の病態から考えてこんな症状があるはずだからこんな問診をする,こんな聞き方をしようということを考えながら勉強を進めていくと分かりやすいと思います。
身体診察では,肝疾患が急性の場合や重篤で進行している場合を除いて,異常が見られないことが多いです。
それでも肝硬変、門脈圧亢進症などでは肝臓の代償不全の存在を最初にとらえやすく、身体診察は重要となります。
肝硬変→黄疸,擦過傷(黄疸による)腹水,浮腫,門脈圧亢進症,肝性脳症,くも状血管腫,手掌紅斑,女性化乳房
門脈圧亢進症→肝性脳症,腹壁皮下静脈怒張(メデュサの頭),腹水,直腸静脈瘤,
なぜこんな症状が見られるようになるのか,いくつかの機序は前述していますが,病因とそれに伴う病態の起こる機序を勉強していくと,頭に残りやすいんじゃないかなと思います。