皆さんの中で、有川浩さんの『県庁おもてなし課』を読んだことがある、あるいは映画を見たことがあるという人は多いと思います。
そこで描かれている、地域の活性化に取り組む公務員の姿は、フィクションでありながらもどこか生々しいリアリティを伴った存在でした。
近年は、この他にも黒木伸一さんの『限界集落株式会社』や堺屋太一さんの『エキスペリエンツ7 団塊の7人』、篠田節子さんの『ロズウェルなんか知らない』など、地域のまちづくりやまちおこしをテーマにしたエンタメ小説が増えてきており、このテーマが社会的な関心を集めつつあるのだということを実感させられます。
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しかし、残念ながら現実にはまだまだ日本人の都会志向は強く、田舎にネガティブなイメージを持っている人々の方が多いというのが私の実感です。
そこで、このガイドでは主に過疎の田舎を舞台に、そこで繰り広げられる巧みな生存戦略を紹介することで、皆さんに地方の底力、魅力などを感じてもらえればと思います。
先ほど紹介した『県庁おもてなし課』では、地域の再生に奮闘する公務員が主人公ですが、こうしたまちおこし、まちづくりに取り組むのはなにも行政だけではありません。
そこには地域を愛し、それゆえに地域の将来を案じる住民の姿や、素晴らしい種々のノウハウを備えたNPOなどの姿があります。
まちおこし、まちづくりとは住民、行政、NPOなど様々な主体が一致団結してこそ成功につながっていくのです。
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次のページからは、ほんの一握りですが、こうした各地域の魅力的なまちづくりの事例を紹介していきます。