一時の屈は万世の伸なり
父上がにっこりとしていわれた。
「一時的に(志をくじかれ)屈することは、将来、永遠に伸びるための元となる。どうして、悲しむことがあろうか。ありはしない」と。
過を改むるを
立派なこころある人は過ちがないということを重んじるのではない。過ちを改めることを重んじるのである。
学べば為すあり
心ある立派な人が道に志を立てた際には、学問に励み、また、それを(我が身にあてて)考えるものである。
昼間学問に励み、夜分(その日に学んだことを)考える。考えれば得るものがあり、学べば行うべきことがある。
志を主とす
学問というものは志、つまり、何のために学ぶのか、ということが最も大切である。
独り学びて友なくんば
昔の人が言われた。「一人で学問をし、一緒に学ぶ友達がいなければ、学問の内容は偏り、見識は狭くなる」と。
事に練れて過誤なきに使かん
中谷翁がいわれた。「何事もしないで、過ちを免れるよりは、仕事に熟練して、過ちを犯さないようにするにこしたことはない」と。
一善を行へば
一つのよきことを行えば、その善は自分のものとなる。一つの有益なものを得れば、それは自分のものとなる。
一日努力をすれば、一日の功績がある。一年の努力をすれば、一年の功績がある。
人を教えるものは、このようにこそ(門人)を教え導くものである。
勇なくんば
人は真の勇気というものがなければ、慈しみ、思いやりの心や物事を理解し、是非・善悪を弁別する心を持っていたとしても、何の役にも立たない。
我れは我れたり
お前はお前である。俺は俺である。人は(俺の生き方を)何とでも言え。
永久の良図を
将来にわたり続くよいはかりごとを捨てて、目の前の手近な効果を取る、その害は言葉で表すことができないほど大きい。