様々なテクノロジーが普及し生活の中に浸透した現代において、テクノロジーは私たちの生活に多大な影響を与える存在になりました。例えば、情報端末が普及したことにより、私たちはいつでもどこでも情報交換や意見の発信が行えるようになりました。また、わからないことがあればGoogleで検索、買い物がしたければAmazonで注文、というように本当に便利になりました。最近では、AI(人工知能)やVR(ヴァーチャルリアリティ)などのテクノロジーが注目されています。これらのテクノロジーが、どのような形で今後活用されていくかはわかりませんが、何らかの形で私たちの生活に影響を与えることは間違いありません。
では、ここで1つ考えて欲しいことがあります。私たちの周りにあるテクノロジーは、何のために利用されているでしょうか?
おそらくいろんな答えがあるとは思いますが、コンピュータの黎明期における多くのテクノロジーの主目的は、利益追求でした。国が栄え国民の生活が豊かになるほど、人々の幸福度は上昇していくと考えられていたからです。そのため、無駄な動作の排除、作業の高速化を行い、生産性・効率性を高めることが、テクノロジーの発展の主軸でした。
ユーザーを集めるために、より便利に
利益を上げるために、より効率的に
しかし、便利になったことで、人々は幸せになっているでしょうか?
テクノロジーは私たちの生活を豊かにする力をもっている反面、効率を求めるが故に苦痛やストレスを増やす種にもなりうることを私たちは実体験を通してなんとなく感じ取っていると思います。例えば、情報端末の普及により、仕事に追われることが多くなり、SNS疲れやネットいじめ、ネット炎上などの問題を産んでいます。
こうした問題に直面した結果、テクノロジーを用いて人や社会がより活き活きした状態にするためのテクノロジーの設計論「ポジティブ・コンピューティング」が生まれました。
本ガイドでは、ポジティブ・コンピューティングにおいて重要な「ウェルビーイング」の捉え方や、ウェルビーイングに関する重要な因子をいくつか取り上げ、ポジティブ・コンピューティングにおけるいくつかのアプローチを紹介したいと思います。