オーロラは、太陽からのプラズマと地球の磁場・大気があることによって発生します。
太陽系の中で地球と似たような環境にあるのが、土星と木星です。
木星や土星を観測する手段は天体望遠鏡など限られており、これらの機器で観測できる情報も限られています。
そこで、 地球上のオーロラをもとにプラズマの運動や、磁場・大気との関係を調査し、この情報を他の惑星に応用 することで、 木星や土星の磁場・大気がどのようなシステムになっているのかを推測するという研究が行われています。
このように、オーロラ研究は地球だけでなく他の惑星の研究にも役立っているんですね。
これまでの話では、宇宙に目を向けてきました。
しかし、オーロラをはじめとする地球の電離圏研究では、宇宙だけでなく、地球の内部も知ることができます。ここでは、地球内部に関係する研究を少し紹介します。
地球の電離圏は、地震や火山の影響で変動することが知られています。
例えば、2011年3月11日の東日本大震災の際、地震発生の約7分後〜数時間、 震源から広がる波紋状の変動が電離圏で観測されました。
なぜ、地面で起きる地震が、上空の電離圏まで影響するかというと、震源からの音波や震源付近の海面で励起された波が、大気を通じで電離圏まで伝搬するからと考えられています。
この結果を応用し、 スマトラ地震による電離圏擾乱から、震源過程を推定するという面白い研究も行われています。
[参考:Heki, K., et al., Iwahashi K (2006) Detection of ruptures of Andaman fault segments in the 2004 great Sumatra earthquake with coseismic ionospheric disturbances. Journal of Geophysical Research, 111(B9) https://doi.org/10.1029/2005JB004202]