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日本近現代女性作家及び作品: 昭和(戦後)期

文壇における大家は男性のほうが多いにもかかわらず、女性作家は美しい流星のように輝いている。彼女らは女性特有の繊細かつ流麗な筆致で人生や社会を描き出し、読者を魅了してきた。

解説

   文学史的には、曾野綾子は遠藤周作らと共に「第三の新人」に属し、有吉佐和子とならんで才女の双璧とされ、その育ちのよさと美貌で世の注目を集めた。

 戦後、原爆文学は一つのジャンルとして登場した。被爆体験を通して、作家たちはその悲劇を記録し、鎮魂した。林京子はその一人だ。平和と人間性回復を希求する彼女の作品は一読の価値がある。

曽野綾子(その あやこ)

曾野綾子 昭和6年9月17日〜存命中(1931年〜)。小説家。東京生。本名三浦知寿子。一貫したカトリック教育を受ける。昭和24年、中河与一の主宰する同人雑誌「ラマンチャ」に入り、第一五次「新思潮」の同人となり、『遠来の客たち』(昭29)が芥川賞の候補作にあげられ、これが出世作となった。その後、『バビロンの処女市』(昭29)、『海の御墓』(昭29)などを発表して作家の地位を確立し、有吉佐和子とならんで才女の名をほしいままにする。相次いで東南アジア、南北アメリカ、ヨーロッパに旅行。『弥勒』(昭39)、『無名碑』(昭44)、『生贄の島』(昭44)、『人間の罠』(昭46〜47)などを発表。白内障で失明したが、手術に成功し、『贈られた眼の記憶』(昭56〜57)で世評を呼んだ。

林京子(はやし きょうこ)

林京子 昭和5年8月28日〜存命中(1930年〜)。小説家。長崎生。本名宮崎京子。上海で育った。昭和20年、通学のため長崎市に下宿し、特一号被爆者になる。昭和50年、被爆体験を赤裸々に描いた『祭りの場』で群像新人賞、芥川賞を受賞。その後も自身の被爆体験や家庭における問題、上海での少女時代などをもとにした作品を展開していく。8月9日の語部として祈りと鎮魂に貫かれた秀作『ギヤマンビードロ』(昭53)、『無きが如き』(昭56)を書いて自己の文学を確立。『上海』は(昭58)女流文学賞を、『三界の家』は(昭58)川端康成賞を受賞。また、平成2年『やすらかに今はねむり給え』で谷崎潤一郎賞、平成12年『長い時間をかけた人間の経験』で野間文芸賞を受賞。

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高 静
連絡先:
本ガイドは図書館学習サポーターとして勤務した際に作成したものです。

勤務期間 :2013年4月~2015年3月
当時の身分:大学院生(修士課程)
当時の所属:九州大学大学院比較社会文化学府日本社会文化専攻