江国香織は美しい日本語感覚を持って、独特な作品世界を描く作家だ。恋愛小説は女性読者に人気で、「恋はするものではなく、落ちるものだ」などの名言に感銘する。
柳美里は在日韓国人として芥川賞を受賞したことから、彼女の実力をよく分かる。彼女は私生活を取材し、家庭問題や児童虐待などを題材にして多くの作品を発表した。
江國香織 昭和39年3月21日〜存命中(1930〜)。小説家、児童文学作家、翻訳家、詩人。東京生。昭和62年、『草之丞の話』で、はないちもんめ「小さな童話」大賞を受賞。平成1年、アメリカ留学時の体験を題材にした小説『409ラドクリフ』でフェミナ賞を受賞。同年に初の短編小説集『つめたいよるに』を刊行。平成4年、『きらきらひかる』で紫式部文学賞を受賞。平成16年『号泣する準備はできていた』で直木賞を受賞。その他、『冷静と情熱のあいだ』(平11)、『東京タワー』(平13)などの秀作もある。エッセイ、絵本、詩の執筆活動を続け、『雨はコーラがのめない』では、雨と音楽との生活を綴っている。透明感あふれる端正な文章、つよさと繊細な心細さを併せ持つ独特な魅力で、若い女性に支持されている作家である。
柳美里 昭和43年6月22日〜存命中(1968年〜)神奈川出身の在日韓国人。小説家、劇作家。平成六年、処女小説『石に泳ぐ魚』を文芸誌「新潮」に発表し小説家としての活動を開始。平成8年、『フルハウス』で第二四回泉鏡花文学賞、第一八回野間文芸新人賞を受賞。翌年、『家族シネマ』で第一一六回芥川賞を受賞。在日韓国人による芥川賞受賞は、韓国メディアを賑わせた。平成11年、『ゴールドラッシュ』で第三回木山捷平文学賞を受賞。平成12年6月自伝小説『命』を出版、『命』はその後『生』『魂』『声』と書き継がれ四部作をなした。朝日新聞夕刊にて、五輪マラソンランナーを目指していた祖父を題材にした作品『8月の果て』を連載(平成14〜16)。平成15年、福田和也、リリー•フランキー、坪内祐三と共に、文芸誌『en-taxi』を創刊。平成21年、前年の「虐待騒動」を題材にして初ノンフィクション『ドキュメント「児童虐待」』を『G2』に発表。翌年、連載に書下ろしを加えた『ファミリー・シークレット』を上梓する。