勤務すると、いろいろなことが起こります。
例えば、検査結果について、医師からの問い合わせが多くあります。ここでは私が経験した例をいくつかつぶやきたいと思います。
Case 1 「結果はまだ?」
一番多いのはコレかもしれません。
診療前検査が行なわれている今、検査結果の返却スピードは、診療を効率よくスムーズに行なうために重要な因子ですが、
至急検査(結果を急ぐもの)となっている項目であっても、凝固しなければならない場合、
「血液凝固10分 + 遠心15分 + 搬送ラインへ投入、開栓5~10分 + 分析10~30分」
などの行程を経て、最低約1時間かかります。 凝固させなくてよい検査の場合は凝固時間を差し引いた分早く結果を出せます。
ということで、
再検査などで結果が遅れてしまっている場合には、申し訳ありませんがもう少々お待ち下さい。
採血後30分くらいで、結果はまだ? と言われても、無理ですので、もう少々お待ちください。
Case 2 「過去の結果と今回の結果が異なる、患者さんにどのように伝えればよいか」
特に感染症(HIV,HBV,HCV,TP)検査結果は、患者さんへの伝え方に配慮が必要であると考えられます。
前述のように、イムノアッセイでは非特異反応が起こる可能性があるので、これまでと結果が異なることが少なからず起こる可能性があります。また、院内でのルーチン検査では、ウイルスに感染している or 感染していないことを確定できないことがあります。
精密検査(遺伝子検査)を依頼し、感染が否定的、または、後日再検査を行い陰性判定であれば、
抗体を用いた測定法の原理を説明し、非感染であるが陽性の判定となってしまう場合があること。今後も、検査法(試薬)によっては、非特異反応により陽性と判定されてしまう可能性があること。を伝えると良いと思います。
Case 3 「他院での結果と値に乖離がある、値が高く出る気がする」
これは感染症の検査結果ではありませんでしたが、同じイムノアッセイを用いた検査項目での問い合わせでこんなことがあったような。
いろんなサーベイが行なわれ、全国で臨床検査値の標準化がなされており、施設間の測定値の差が少なくなっていると考えられます。しかし、複数の会社から試薬が販売されており、全施設が同じメーカの試薬を用いて同じ条件で検査をしていないことから(検査室の温度、湿度、水なども)、多少の試薬反応性の違いにより同じ検査項目であっても結果が乖離することは考えられます。
感染症検査に至っては、グレーゾーン(陽性か陰性が分からないという判定)を設定して判定を保留にしたり、別法で検査して結果が乖離した場合に非特異反応の可能性とのコメントを入れたりと、施設によって結果報告の運用が異なることがあります。 知らなかったらビックリしますよね。
とある有名な先生は、「セカンドオピニオンなどの考え方が広まり、患者さんは医師を選ぶことができる時代となりましたが、現在、患者さんは検査試薬を選ぶことができない時代である。」とおっしゃっていました。
確かに、、 せっかく検査するなら最高の試薬で検査してもらいたいですよね~
(用途によって異なりますが)検査室としては、検出感度が高い、さらに、偽陰性を出す可能性の低い検査試薬を選択することが重要です。 また、同じ試薬を用いて経過観察を行なうことも重要であると考えられます。
試薬による判定結果の差異を検討した論文があります。日本語ですので一読してみてください。
注意:自分の病院の検査室がどの試薬を使っているのか気になって気になって仕方なくなると思います。
Case 番外編
院内での日常を思い出すといろいろありました。
「道を聞かれる」
デッカい病院だと何処に何があるのか分からない患者さんが多いので、白衣なんかを着て歩いていると道を聞かれてしまいます。
せめて院内の構造、診療室の場所を把握しておくことをオススメします。
聞かれたけど分からなくて、近くを通った看護師にお願いしてしまいました。
「これは方言だったのかと知る」
生まれ育ったところと違う地域で働くと、流暢な標準語を話しているつもりでも、知らないうちに方言が出ていることがあるようです。
全く理解してもらえないことから、この単語は標準語ではないと知りました。
そして、人前で発表なんかすると、地方の人間だと何故かばれます。
「白衣を着ると気が引き締まる」
白衣を着て歩くと、ちゃんとしないとな〜 と思います。