このガイドでは、「現代思想マップ」と題して、実存主義(Existentialism)以降の現代思想を概観することにします。
読者層としては、「思想に興味があるけど、流れが良く分からない」というような学部生を対象にしています。
それではなぜ、ここで「現代思想」を扱うのでしょうか?
それは、「思想」について/をとおして考えるだけで「世界」の見え方が変わってくるからです。
私自身は高校時代に安部公房(1924-1993)や大江健三郎(1935- )の文学テクストをとおしてジャン=ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre, 1905-1980)の実存主義哲学に触れ、「世界」が変わりました。
そして「思想」による「批評」(疑う力)は、資本や国家に汚染された社会の「外部」を目指すための有効な「突破口」になるでしょう。
現代思想に触れることで、まったく違う「世界」を見たいとは思いませんか?
ポストモダン(Postmodern)以降の80年代の日本では、文学テクストを論じる際に「現代思想」や「文学理論」が用いられる傾向がありました。
ミシェル・フーコー(Michel Foucault, 1926-1984)の権力論や、ジャック・デリダ(Jack Derrida, 1930-2004)の「脱構築」(deconstruction)などを使ってテクストが論じられたのでした。
このように、「現代思想」は文学批評でも使われており、「思想」は様々な領域で使われるようになります。
たとえばデリダの「脱構築」は法学でも応用され、「ポストモダン法学」が誕生します。
文学や法学、あるいは政治学に応用される「現代思想」は様々な学問の基礎を成しているとさえ言えるでしょう。
このガイドでは、思想とその周辺領域の関係性にも留意しながら、思想の可能性を探りたいと思います。