構造主義の言う「構造」とは、社会を構成する仕組みのようなものです。
文化人類学者レヴィ=ストロースの言う「構造」とは、部族間の婚姻システムといった文化的な「構造」を指します。
フーコーの場合、それは言説の歴史的な構築のことです。
アルチュセールのマルクス主義の場合は、資本制のシステムでしょう。
ラカンの精神分析の場合は、人間の心理の構造です。
実存主義が流行し、フランスでは五月革命が行われます。日本で言うところの学生運動のようなものです。
そこで理論的支柱になったのが、実存主義とマルクス主義です。
この二つの革命的な思想を背景にして、国家と資本に対抗する運動が行われたのですが、最終的に国家と資本を破壊することはできませんでした。
そのため、運動で挫折した人々が向かったのが構造主義とポスト構造主義です。
現在の社会システムがあるのは、「構造」のためであるので、仕方がないと人々は考えたのです。
また、フランスでも戦争責任がサルトルら実存主義者によって言われていました。
しかし、構造主義者は、その「責任」が自分になるのではなく「構造」にあるとして、責任逃れをすることになりました。
フランス革命で挫折したワーズワースが湖畔のある田舎に閉じこもって社会批判をしない保守的な詩人になったのと同様に、構造主義者は保守化したのです。