the grace of set
the whole creation
the crisis of the system
the expanse of the universe
数学は, 独自の体系内で真理を確立します.
その体系はごく自然でこの世界を記述する道具と成り得ます.
数学の始まりは論理.
論理をもって数学の全てを生み出す集合論の世界.
数学の世界は, 真偽の単純な世界です.
ある命題に対して, 必ず真か偽の真偽の価が決定します.
数学は, 真か偽の論理学です.
論理学は, 命題Aが真であり, 命題Bが偽であるとき,
A and B は真か?などを問題にします.
命題A,B,Cに対して,A and (B or C) の真偽と (A and B) or (A and C)の真偽は等しい.
すなわち一方が真であればもう一方も真である. 偽も同じ.
この一見ややこしい論理も集合の図に直してしまえば,
直感的に理解しやすくなります.
このように図から論理式の理解が可能になるのも, 集合により論理や性質に図形的な実体を
与える翻訳が上手くされているためです. 数学的対象が持つ一般の性質を
考えることは, 勝手な集合(そんな性質を満たす集まり)を考えることに
相当しますので全ての数学の議論は集合論の論理に帰着するわけです.
無から集合概念のみでつくられる世界はどんなものか?
・・・
自然数をつくり, 実数をつくり, 実数に実数を対応させる関数の全てを
つくり現代数学で考えられる数学的対象全てが誕生します.
創造の業に少しふれます :)
無とは空集合を指し, 空集合とは自身と等しくないものの集まりです.
そんなものは存在しないので空集合は無を表します. そして空集合からつくる集合は, もはや無ではありません.
それは, 空集合を含む新しい集合です.
こうして"1"が出来上がります. Amazing:)
集合概念は無からの創造を可能にしましたが, 同時に, ラッセルのパラドックスで
知られる集合概念の矛盾も孕んでいました:
自分自身を含まない集合の全体Rを考える.
※集合を表す書き方の一つ.R は x の集合であり, x は | から右の定義を満たします.
このとき, R自身はRに含まれるか?
(仮定:RがRに含まれるとすれば), (定義:Rは自分自身を含まない) ので,
(結論:RはRに含まれません).
矛盾
逆に, (仮定:RがRに含まれないとすると), RはRに含まれないのだから
( 結論:Rに含まれる) .
矛盾
この矛盾を解消するためにツェルメロは公理を付け加えて集合論を展開しました.
そうして発展したのが公理的集合論であり, 現代数学の基礎となっています.