Q. 今までで一番大きな隕石って?
→ 火星サイズ!!
約46億年という地球の長い歴史のなかで、様々な隕石が落下してきました。最近では、2013年にロシアに落ちた「チェリャビンスク隕石」が記憶に新しいと思います。この隕石は人的被害を及ぼしたことで有名になりましたが、過去にはもっと大きな隕石が地球に衝突しています。
地球に衝突した(もはや落下のレベルではない)最大の隕石は、おそらく火星(直径6700km)くらいの大きさだったでしょう。このくらいの大きさになると、隕石というよりは「小惑星」もしくは「微惑星」と呼びます。この天体はいつ衝突して、そしてそのとき何が起こったのでしょうか。
地球が現在のような球体の形になってまだ間もないころ、火星くらいの大きさをもった微惑星が衝突してきました。衝突した微惑星の核は地球深部へと沈み、そのほかの部分は地球周辺へと散らばりました。その後、一度バラバラになっていた微惑星が地球の周辺軌道で集積し、地球の衛星、つまり月となりました。これは「Giant Impact theory(ジャイアントインパクト説)」と呼ばれる、月形成シナリオの一つです(図3-1)。天体衝突の直接的な証拠はありませんが、コンピューターを使ったシミュレーションなどから現在のような地球と月を作ることに成功しているそうです。地球に衝突した隕石で最も大きなものは、間違いなく月を形成した微惑星だと思います。今、火星くらいの天体が落ちてきたら、アルマゲドンどころの騒ぎじゃないですね(笑)。
今まで最も多くの隕石が落ちてきたのはいつ?
→ 今から38 ~ 40億年前
火星サイズの隕石が、過去最大サイズの隕石でしたが、この時は1つの巨大隕石が落ちてきただけです(だけと言っても、相当な事件ですが...)。しかし、過去には無数の隕石が落ちてきた時期もあります。
月を作った微惑星が衝突してから地球に安泰の日々が訪れようとしていたころ(40 ~ 38億年前)、悪夢が再びやってきました。それが「後期重爆撃期」です。先ほどのジャイアントインパクトとは違って、後期重爆撃期には多量の隕石が地球に衝突したと考えられています。これは、アポロ計画で持ち帰られた月の石を分析した結果、衝突溶融物の形成年代が40~38億年に集中していたことがわかり、月に多量の隕石が降り注いでいたなら地球にも落ちてきて当然だろう、という考えから提案されました(図3-2)。現在では否定的な意見もあり、このようなことが本当に起きていたかどうかはまだわかりません。しかし、地球の水や生命の材料である有機物が、この時に衝突した隕石や彗星から供給されたと考える研究者を多く存在し、まだまだ議論がなされているホットトピックの1つです!
隕石の衝突って、地球の生物に影響はないの?
→ 恐竜をはじめとする生物が絶滅した!?
2015年、映画「ジュラシックワールド」が公開され、大ヒットを記録しました。私も映画が大好きなので観に行きましたが、とてもおすすめです(すごく面白かった!)。
映画では、最新のCG技術で様々な恐竜がとてもリアルに再現されていましたが、実際に地球上で恐竜が生きていた時代は、三畳紀後期(2億3000万年前)から白亜紀の終わり(6500万年前)です。恐竜は地球上で繁栄した種の一つですが、その絶滅は隕石衝突によってもたらされたと考えられています。
メキシコ南部にあるユカタン半島には、「チキュシュルーブ・クレーター(Chicxulub crater)」と呼ばれる天体衝突跡が存在します(図3-3)。このクレーターを形成した天体(隕石もしくは小惑星)が恐竜を絶滅させた張本人であると考えられています。これは、白亜紀の終わりごろの堆積物からイリジウムと呼ばれる、地表には微量しか存在しない元素が異常に濃集していたことから提案されました。つまり、この時代に天体が衝突し、その際に天体中のイリジウムが地表に供給された結果、当時の堆積物にイリジウムが異常濃集していたということです。巨大天体が衝突すると、多量の塵が舞い上がり、日光を遮ってしまったため植物が光合成を行うことができず、食物連鎖が崩壊してほかの生物(恐竜を含め、科で20%ほど)も絶滅してしまったと考えられています。
図3-1 微惑星が衝突し、地球周辺の軌道で集積して、月が形成された。
出典:小・中学生のための学習教材「理科の部屋 月(moon)」(2017/2/21) http://www7a.biglobe.ne.jp/~gakusyuu/wakusei/tuki/tuki.htm
図3-3 1996年に南極側から撮影された月面の様子。たくさんのクレーターが存在することがわかる。
画像:NASA/JPI/USGS「NASA Space Place」(2017/2/23) https://spaceplace.nasa.gov/craters/en/
図3-3 コンピュータによって作成されたチキュシュルーブ・クレーター付近の重力分布図。現在は堆積物に覆われて目で見ることができないが、重量異常から地下に隠されたクレーターが発見された。
画像:Virgil L. Sharpton/JPI/NASA「Chicxulub crater」(2017/2/23) http://solarsystem.nasa.gov/galleries/chicxulub-crater(現在はリンク切れ)