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動物実験の基礎(マウス): マウスのゲノム

動物をいたわりましょう

ゲノム

生物が持っているすべての遺伝情報を"ゲノム”と呼びます。

マウスのゲノム情報はほとんど解読されており、公開されています。

 

ゲノム情報はどこにあるかというと、染色体と呼ばれる構造に収納されています。

染色体はヒストンとDNAで構成されています。ヒストンの周りにDNAが巻き付いてヌクレオソームという構造を形成し、コンパクトに折りたたまれてクロマチン構造を形成し、これがさらに巻き付くように染色体が形成されます。

マウスの染色体は上図(1倍体)の様に、1~19番と性染色体(X or Y)で、計38XYで構成されています。

  

ヒトの染色体はテロメア、短腕、セントロメア、長腕があり、メタセントリックな構造をしていますが、

マウスの染色体は極端に短腕が短く、テロメアが末端部にある、アクロセントリックな構造をしています(doi:10.1038/nature01262)。Y染色体のみメタセントメトリックな構造をしているようです。

 
右の図はWikipediaからの出典です。わかりやすく書いてあったので。
しかし、Wiki中にはハツカネズミの染色体はテロセントメトリックと記載されていますが、アクロセントリックの間違えかと思われます。 上のNatureの論文を読んでみて下さい。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%A1%E3%82%A2

 

テロメア:自身のDNA分解酵素から染色体の末端部分を保護し、染色体の安定性を保つための構造。

 

UCSC Genome Browser

UCSC Genome Browser は、米国カルフォルニア大学サンタクルズ校が提供するオンラインゲノムブラウザです。転写因子の結合、ヒストン修飾、メチル化など、沢山の情報を得ることができます。

皆さん利用されているのではないでしょうか。

 

このブラウザを使用して、マウスの Gapdh (Mus musculus glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase (Gapdh), transcript variant 1, mRNA.) 遺伝子を見てみましょう!(2017年8月時点の情報)

UCSC Genome Browserを検索して、

Mouse Assemblyで "Dec. 2011 (GRCm38/mm10)" を選択

Position/Search Termで "Gapdh (Mus musculus glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase (Gapdh), transcript variant 1, mRNA.)" を選択

GO をクリックすると以下の画面がでます。

 

 検索結果がこれです。マウスgapdh遺伝子の位置、exon/intronの場所など様々な情報が出てきました。

① 6番染色体の125161852-125166467間の4616bpがgapdh遺伝子の配列

 

② Exonは7個(太いところ)、間にIntron(細い線)

③ 種間の相同性が視覚的に見える(黒い太いところが配列が一致している箇所)

 

 

 ③をよく見てみると、一番上にあるラットが最も相同性があるようです、Intronの配列もかなり保存されています。

 上から3番目にはヒトがあります。ヒトもラットに負けず劣らず、かなりの配列が保存されていることが見て取れます。

 進化の過程で大切な配列は良く保存されて、広い種間で共通の遺伝子が働いているんだな~ と想像できます。

 右図を見てみると、ヒトとマウスは9000万年前に分岐したと言われており、近くは無いようにみえますが、それでも共通の遺伝子配列を持っているということに驚きですね。共通の祖先がいて、そこから長い時間をかけてそれぞれ進化したんですね~