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★はじめてのLaTeX: 発展編

より美しく、より簡単に

ハイパーリンクとしおり 1/7

ハイパーリンクを使うには、まずプリアンブルの出来るだけ後半部分に\usepackage[ドライバ名]{hyperref}と記述します。ドライバとしてはdvipdfmxやdvipsなどが指定可能ですが、大体の文書では前者を指定しておけば問題ありません。ハイパーリンクには大きく2種類あります。

1. \url{hogehoge.jp}:文字列にURLを関連付け。リンクをそのまま表示する。

2. \href{hogehoge.jp}{テキスト}:表示するテキストにURLを関連付け。

hyperrefを用いると、pdfのしおりを作ることも可能です。しかし、hyperrefだけでは日本語の一部が文字化けしてしまうので、プリアンブルのhyperrefの直後に\usepackage{pxjahyper}と記述しておく必要があります。この処方箋を施しておくと、セクション(サブセクション)の文字列がしおりとして反映されます。

\usepackage[dvipdfmx]{hyperref}
\usepackage{pxjahyper}

hyperrefにはオプションをつけることも可能です。例えば、僕の場合、プリアンブルには次のように記述しています。

\usepackage[dvipdfmx]{hyperref}
\hypersetup{  %hyperref options
 setpagesize=false,
 bookmarksnumbered=true,
 bookmarksopen=true,
 colorlinks=true,
 linkcolor=blue,
 citecolor=blue,
}
\usepackage{pxjahyper}

\hypersetupの中身がオプションの具体的な内容です。それぞれのオプションの意味については[1]をご参照ください。

参考文献

[1] "hyperref," TeX Wiki (2023/12/4 閲覧), URL: https://texwiki.texjp.org/?hyperref

箇条書き 2/7

箇条書きには主に3つの環境があります。

1. itemize環境(記号付き箇条書き)
2. enumerate環境(番号付き箇条書き)
3. description環境(見出し付き箇条書き)

このうちitemize環境とenumerate環境はほとんど同じ記法となっており、例えば上記のような番号付き箇条書きを出力するソースコードは以下のようになっています。

\begin{enumerate}
\item itemize環境(記号付き箇条書き)
\item enumerate環境(番号付き箇条書き)
\item description環境(見出し付き箇条書き)
\end{enumerate}

デフォルトのitemize環境では数字の部分がドット表記に変わります。


description環境は若干書き方が変わります。例えばつぎのような箇条書きは企画書やしおりなどでもよく目にするものです。

日時 2023年12月4日
場所 理系図書館3F大会議室
準備 PC

このような見出し付き箇条書きは以下のように記述すると出力できます。

\begin{description}
\item[日時] 2023年12月4日
\item[場所] 理系図書館3F大会議室
\item[準備] PC
\end{description}

赤字の部分が見出しの表記を指定するオプションの記述になります。

図表を並べて配置 3/7

図表を並べて表示するにはminipage環境を用いるのが一般的です。以下のように図を2つ並べて表示したいとします。

図34. 2つ並びの図

これを出力するには以下のように記述するのが一般的です。

\begin{figure}[H]
\begin{minipage}[b]{0.45\hsize}
\centering
\includegraphics[keepaspectratio, width=\linewidth]{LeftFigure.jpg}
%\subcaption{}
\end{minipage}
\hfill
\begin{minipage}[b]{0.45\hsize}
\centering
\includegraphics[keepaspectratio, width=\linewidh]{RightFigure.jpg}
%\subcaption{}
\end{minipage}
\end{figure}

 

青文字のコードが左側の図に、赤文字のコードが右側の図に対応しています(図の名前は判別しやすいものに付け替えています)。いくつか解説の必要なコマンドがありますので、そちらを以下に列挙します。

  • \linewidth・・・文章の幅を取る。「width=\linewidth」は「画像幅をミニページの文章幅に合わせる」という意味。
  • keepaspectratio・・・画像のアスペクト比(矩形の短辺と長辺の比)を固定するためのオプション。
  • \hsize・・・pdfの横幅分の長さを取るコマンド。「0.45\hsize」は「pdf幅の0.45倍」という意味。
  • \subcaption・・・サブキャプションを出力する。プリアンブルでサブキャプションパッケージを読み込む必要がある。今回の例ではコメントアウトしているので出力されていない。
  • \hfill・・・スペースを均等に配置[3]。

ちなみに図表は幾つでも並べることができますし、後述するtabular環境と組み合わせることで図をマトリクス状に表示することも可能です。詳細は以下の参考文献をご参照ください。

参考文献

[1] "Texによる文書作成18 ~図を並べて表示," 「つれづれなる備忘録」(2023/12/4 閲覧), URL: https://atatat.hatenablog.com/entry/cloud_latex18_subcaption

[2] "LaTeX 図の挿入," 「Yamamoto's Laboratory」 (2023/12/4 閲覧), URL: https://00m.in/fnAub

[3] "水平方向の空白(スペース)のコマンド11個," 「数学の景色」(2023/12/5 閲覧), URL: https://mathlandscape.com/latex-hspace/#toc2

網掛けの方法 4/7

マーカーや網掛けは文章を視覚的に強調するのに効果的です。文字にマーカーを引くにはcolorboxコマンドを使用します。このコマンドはcolorパッケージが必要となりますので、プリアンブルで忘れないように読み込んでおきましょう。例えば「黄色マーカーはこんな感じ」という文章をマーキングするには次のように記述します。

\colorbox{yellow}{黄色マーカーはこんな感じ}

\emphコマンド(文字を強調する時に使う命令)を再定義することでテキストの下半分に色付けし、マーカーを引いたような風合いを再現することも可能ではあるようです[2]。


文章に網掛けや囲いを施すにはtcolorbox環境が効果的です(筆者もよく使用します)。この環境はtcolorboxパッケージが必要ですので、プリアンブルで忘れずに読み込んでおきましょう。デフォルトのtcolorbox環境は灰色の枠付き網掛けを出力します。以下のような塩梅です。

\begin{tcolorbox}
    tcolorbox環境を使うとデフォルトでこのような囲いを作ることができます。
\end{tcolorbox}

枠の有無や網掛けの色などは自分好みにオプションで指定することができます。詳細は[3]をご参照ください。

参考文献

[1] "背景に色を付ける -colorbox," 「LaTeX 入門」 (2023/12/25 閲覧) URL : https://medemanabu.net/latex/colorbox/

[2] "LaTeX の emph を蛍光ペンでひいたようなスタイルにする," (2023/12/25 閲覧) URL:https://blog.shimanoke.com/ja/posts/change-latex-emph/

[3] "tcolorbox の基本," 「物理と TeX に関する話題」(2023/12/26 閲覧) URL:https://texmedicine.hatenadiary.jp/entry/2015/12/17/000339

表の作り方 5/7

LaTeXではtabular環境を用いて表を出力することができます。例えば以下のような表を出力するとします。

図35. 表の例

これを出力するには以下のようにコーディングします。アンパサンド(&)は列を揃える基準です。

\begin{tabular}{lrr}\hline
品名 & 単価 & 個数 \\ \hline
りんご & 100 & 5 \\
みかん & 50 & 10 \\ \hline
\end{tabular}

赤字の部分が表の中身に相当する部分になります。各コマンドはそれぞれ次のような役割を担っています。

  • lrr・・・列指定です。3列それぞれが左寄せ(left)、右寄せ(right)、右寄せであることを表しています。中央揃えにしたい場合は「c」(center)を用います。アルファベットの数が列の数に対応しています。
  • \hline・・・横罫線を引くための命令です。\hline\hlineのように2つ続けて書けば二重の横罫線となります。
  • \\・・・改行

なお任意のボックスを空白にしたい場合は、該当箇所を空欄にしておけば大丈夫です。

一方、日本語文書では縦罫線が必要になるケースも多々あります。例えば

図36. 縦罫線ありの表

のような表を出力したい場合には、次のようにコーディングします。

\begin{tabular}{|l|r|r|}\hline
品名 & 単価 & 個数 \\ \hline
りんご & 100 & 5 \\
みかん & 50 & 10 \\ \hline
\end{tabular}

赤字の部分に注目すると、列指定の間に縦棒が挿入されているのが見て取れます。このようにしておくと縦棒の位置に対応する箇所に縦罫線が描画されます。ちなみに||と書くと二重の縦罫線となります。


ここまでで表自体は作成できますが、出力位置などを指定していないのでそのまま記述した位置に出力されてしまいます。また、表のキャプションも表示されません。これらを調整するにはtable環境を用いる必要があります。具体的には以下のような塩梅です。

\begin{table}[htbp]
    \centering
    \caption{表のタイトル}
    \label{ラベルhogehoge}
    \begin{tabular}{cll}\hline 
                品名 & 単価 & 個数 \\ \hline
                りんご & 100 & 5 \\
                みかん & 50 & 10 \\ \hline
    \end{tabular}
\end{table}

こうするとキャプション付きの表が中央揃えで出力されます。役割としては図の挿入におけるfigure環境に似ていますね。


ちなみにExcel感覚で表を作成したい人にはTable Generatorというサイトもおすすめです。直感的に作成した図をLaTeXコードに変換してくれます。csvファイルを読み込んだりOffice製品で作成した図をペーストしたりすることもできますので、頻繁に表を作成することがなければこちらを活用してみるのも良いかもしれません。

目次の作成 6/7

目次の出力は非常に簡単です。出力したい場所に\tableofcontentsと記載すれば、そこに目次が出力されます。例えば、以下のソースコードをコンパイルしてみましょう。

\documentclass{jsarticle}

(省略)

\begin{document}
\maketitle

\tableofcontents

\section{LaTeXガイド}

\subsection{LaTeXとは}

\subsection{LaTeXの基本構造}

\section{基本的な操作}

\section{画像の挿入}

\end{document}

出力結果は以下のようになります。

図37. 目次

\maketitleの後ろで\tableofcontentsとしたので、タイトル・作成日・執筆者名のすぐ後ろに目次が出力されています。

よく使うWebサイト 7/7

個人的によく使うWebサイトをまとめておきます。

① LaTeX入門:https://medemanabu.net/latex/
個人的に一番気に入って使っているサイト。ソースだけでなく実行結果も掲載してくれているのがありがたい。

② 数学の景色:https://mathlandscape.com/category/latex/
特定のトピックにフォーカスした解説記事が充実している。たまに眺めると勉強になる。数学系のサイトなので、数式環境に関する解説が多め。

③ TeX Wiki:https://texwiki.texjp.org/
TeX版ウィキペディア。勉強より辞書的に使うのが吉。TeX のインストール方法なども掲載されているので、ローカルで環境構築したい人はまず参照してみよう。エラーメ ッセージも調べられる。

④ TikZを使ってみよう!:https://guides.lib.kyushu-u.ac.jp/c.php?g=774891&p=5559083
TikZとはTeX で絵を描こうと思った時に使用するツールのこと。簡単なグラフやイラストを描画できる。以前在籍されていたCuterが作成したもの。

⑤ TeXclip:https://texclip.marutank.net/
TeXのコマンドで数式の画像を出力できるサイト。文書はTeXで作るがスライド資料はPowerPointでという人におすすめ。ローカルでやりたい人にはTeX2imgというソフトもある。

⑥ つれづれなる備忘録:https://atatat.hatenablog.com/archive/category/TeX
前述した数学の景色と系統としては似通っており、TeXの扱いに慣れてきた頃に眺めると勉強になる。理系向け。