考古学の年代測定法は主に二種類に分かれます。相対年代法と絶対年代法です。
相対年代法は元々地質学の考え方です。地層堆積の原則に基づき、標準化石などにより地層年代を確定していました。
考古学では、モノは時間と共に形態的な変化が起っていると認識しています。
身近な例を挙げると、ディスニーのミッキーマウスは最初に出現した時、顔が長くて目も本当のマウスに近い形でした。その後マウスの顔が丸くなり、目が丸くなってきました。つまり、幼児の顔に似てきました。
本当のマウスに近い形 ⇒ 顔と目が丸くなる ⇒ 幼児の顔に類似
なぜこのような変化が起きたのでしょうか。
ミッキーは最初脇役で狡賢いマウスでした。その後人気が高くなり、主役になりました。
デザイナーは人間が幼児に優しくしたくなる本能を利用し、ミッキーを幼児化にすることで、私たちが自然に財布を開けることを狙っているのです。(鈴木 1981)
(図2)本当はミッキーマウス を使いたかったのですが、大人世界の諸々により、和製鏡文様変化の図面で説明します。
日本で生産された鏡は和製鏡と言います。
卑弥呼が中国から鏡がもらったという話はよく聞くと思いますが、大陸からの鏡は数が限られています。
その後日本でも作るようになりました。
日本で作った鏡は紋様が大陸の鏡を真似て虎であるはずですが、日本列島には虎がいないため、虎から翼のように変化ました。
環境の影響での形態変化のプロセスを表しています。規律から、時間による変化がわかります。
その反対にモノと規律から時間を明確にすることもできます。
つまり、相対年代法により変換の規律を見出すことができます。
しかし、ルールがわかるだけで、順番はわかりません。
如何なることで前後の順番を知ることができるでしょうか。
そこは地層学を使います。
地層はパフェみたいに一層一層で積み重なっています。
下の層は上の層より早く入っています。下の層にあるナッツは上の層にあるチョコレートより早いです。地層の比較により、物の相対的な時間関係がわかります。
もし同じ地層にある他のものの絶対年代がわかれば、例えば、時代がわかるお碗などが存在すれば、この地層だけではなく、相対年代がわかる全ての層位がわかります。
しかし、相対年代はあくまでも相対的なものです。いつのものという質問には答えません。はっきりと年代がわかる方法はないのでしょうか。
あります。それは絶対年代法です。
科学的な手法を使い、例えばC–14のような理化学的な方法を使って年代を測定することや銘文、記年などの文献資料と照合することが絶対年代法と呼びます。
ある陶磁器が出土したとします。
その陶磁器が偽物ではないことが確定できた後、その陶磁器の底に年号が書いてある、或いは信頼できる文献に作られた時代が書いてあったら、陶磁器の作られた時代が断定できます。
あるいは他の方法で測定できます。例えば、有機体にあるC–14を使って年代を測定します。
C−14という名詞はテレビや新聞などでよく出ます。これは一体どのようなものでしょうか。
C−14とは何でしょう。
C−14、即ち炭素14です。
炭素の放射性同位体です。
炭素の内の0.00000000012%を占めています。少ないですが、色々な有機体に普遍的に存在しています。
なぜなら、宇宙線は大気と反応し、中性子を生成します。生成した中性子と窒素原子が反応し炭素14が生成します。
生成した炭素14はまた水素と反応し、空気中の二酸化炭素に混入します。
植物は光合成で二酸化炭素を吸収し、私たちや動物は植物を食べてエネルギーを吸収しています。
このプロセスによって有機体に炭素14は普遍的に存在するようになりました。
なぜC−14で年代測定ができますか。
死亡した生物体の中にある炭素14は約5730±40年の半減期で崩壊して減っていきます。
最初の放射線炭素分析法は炭素14放射壊変で放出したベータ線を測量する方法でしたが、人類社会にとってこの方法は誤差が大きいです。また、使う試料の量が多いです。
70年代になると新たに加速器質量分析法(A M S法)が現れました。放射線ではなく放射性炭素濃度を測定する方法です。この方法はより精密であり、必要な試料も少ないです。考古学遺物遺跡の年代測定にもっと使いやすくなっています。(高倉など 2011)
C-14を使っている放射線年代測定法が、既にあった技術だということは、上の説明で分かったと思います。
ここで質問が出るかもしれません。
既にあった技術なのになぜ今回『Nature』に載せられた論文で議論したのでしょうか。
C-14年代測定法の応用に新たな進展があったからです