ロックフェラー研究所の教授として,DNAが遺伝子の正体であることを突き止めた.非常に温厚な性格であったことも知られており,ロックフェラー大学には彼を讃える記念碑が立っている.
「彼にノーベル賞が与えられなかったことが科学史上最も不当なことだ」と言う科学者もいるほど今でも多くの科学者から愛されている一人です.
エイブリーはグリフィスが残していった謎に取り組み始めます.
なぜ死んでいるはずのS型菌が生き返るのか?何がS型菌を生き返らせるのか?
エイブリーのとった実験手法は極めてシンプルなものでした.
この実験が行われたのは1944年.太平洋戦争まっただ中の時代です.
ちなみにこの論文の引用数は2747.この60年足らずのうちに約3000回も他の論文に引用されていることからも,インパクトの大きさが分かると思います.
まず,S型菌をすりつぶして殺し,それをR型菌に混ぜると生きているS型菌が現れる.
つまり,S型菌中の何らかの物質(下の図のA~Eのどれか)がR型菌をS型菌に変えるということを突き止めます.これこそ遺伝情報を伝える遺伝子に他なりません!
そこで,エイブリーはS型に含まれる成分を1つ1つR型菌に加えることで,何がR型菌をS型菌に変化させるのか調べることにしました.
その結果,AとR型菌を混ぜたときにのみ,S型菌が生じることが分かりました.
このAを分析した結果,Aは核酸と呼ばれる物質でした.
ここで,一つの重要な発見が生まれます.
遺伝子の正体は核酸,つまりDNAである.