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生命と数学: モンシロチョウの話

生態系には多くの数式が隠されているといわれています。それは生命が生き残るために進化の過程で試行錯誤した証なのです。

モンシロチョウの産卵の話

 小学校の理科の時間に昆虫採集した覚えがあります。特にモンシロチョウは全国の子供に親しまれているようです。私は成虫を追い掛け回すより、学校の菜園畑にいってキャベツやアブラナの葉の裏にアオムシを見つけては、虫かごでサナギになり、羽化するのを観察するのが好きでした。


 ところで、モンシロチョウは産卵場所をどうやって見つけるのでしょうか?やはりキャベツやアブラナ科の植物に卵を産み付けるので、幼虫が卵からかえったときに餌となる植物が周りにあるような環境にうんでいるのでしょう。あるいは天敵に狙われにくいように、葉の裏側に産卵します。葉の裏は強い雨風をしのぐことにも役立っています。

 また、一匹のモンシロチョウの産卵場所は一定ではなく、複数の場所に分けて生む性質があります。キャベツ畑からキャベツ畑へ転々と一つずつ産み付けるのです。時々餌としては栄養価の低く、毒になりうる植物に産み付けます。例えばイヌガラシといった水田や道ばたに茂る植物にも生みます。


 わざわざ産卵場所を選ぶのならば、栄養価の高いキャベツ畑ばかりにすればよいのに、イヌガラシに産み付けるのみはいったいどのような意味があるのでしょうか?


 それはキャベツ畑では、ヒトという天敵がいるからと考えられています。ヒトはキャベツを育てたべるので、害虫からキャベツを守るために農薬散布をします。一度農薬散布されると、産卵された卵が全滅することがあるのです。ヒトはキャベツの収穫もします。一度収穫されてしまうと、葉についているアオムシは見つかって駆除されてしまうでしょう。一般に、餌が十分でない環境で死滅する確率や、鳥などの天敵に見つかって死ぬ確率(自然死亡率)のほうが、ヒトにより全滅させられる確率(人為死亡率)よりも高いですが、全滅のことを考えるとリスク分散がなされていると考えることができます。つまりモンシロチョウの産卵場所の分散は、絶滅を回避する手段といえます。

 ※モンシロチョウはいったいどんな割合で産み分ければ最も効率が良いのかについては、『なぜ男は女よりも多く生まれるのか』のp94から解説があるので一読してみてください。(  おすすめ図書 参照)

コラム3

ヒトの天敵とは何か?

 天敵という言葉は、特定の生物にとって、自分自身が捕食されたり寄生されたりする相手の特定の生物のことを意味します。
例えばイワシはとても小さな魚なので、多くの生物のえさになり、天敵が多いということになります。

 では、ヒトの天敵とは何でしょうか?ヒトは科学技術の進歩で様々な自然界を征服し、もはや捕食される心配もなく、天敵はなくなっていると考えられています。しかし記憶に新しいように2003年には東アジアを中心にSARSが流行し、多くの人が亡くなりました。感染症は細菌やウイルスによっておこりますが、新しい未知の感染原が発見され、その薬が開発、普及するのにはタイムラグがあり、ヒトの科学進歩と細菌、ウイルスの進化はいたちごっこを繰り返してきました。

 小さな魚は群れで泳ぐことで、大きな魚にからだの大きさを錯覚させて、捕食を逃れることができます。しかし時には大きな魚に全滅させられてしまいます。ヒトも薬剤耐性細菌やウイルスの登場で、科学技術を駆使し、流行を最小限に抑えることができます。しかしいつもうまくいくと果たして誰も保証してくれないのです。