Skip to Main Content

医療におけるレーザーの世界(歯科医療編): レーザー洗浄の原理、実際

レーザーってよく聞くけど、なに?医療の世界でも結構使われています。 少しだけご紹介します。

レーザー洗浄の原理、実際

では実際にどういうメカニズムでレーザーによる根管洗浄をしていくのでしょうか。

まず根管の中にレーザーの機械自体が入らなくてはなりません。

レーザーにはそのレーザー光を誘導するチップというのが先端についています。素材は石英。いわゆるガラスファイバーでできています。

これは現在用途に応じて様々な形態、太さ、長さのものが販売されています。

そこで使用するのが根管内に入れるRチップです。(oot Canalの

このチップは先端の細さが0.135mm、0.2mm、0.3mm、0.4mmなどがあります。

そしてチップの工夫として、先端が円錐型をしています。

これはレーザー光がチップの先端からまっすぐ直進するのではなく、側方にも広がるようにとつくられた形態です。

側方に80%、先端に20%の力でレーザーが出力されるように仕組まれています。)

これにより、レーザーチップを根管の中に挿入すると直進方向と、横方向にレーザーが照射され、横の壁(根管壁)にも影響を与えることができるわけです。

具体的には?

具体的な使い方で現在研究されている方法は

根管の中に洗浄液をみたし

その中にレーザーチップを挿入する。

その中で照射をすると

中の洗浄液が動く。

レーザー照射の勢いで、普通にシリンジで洗浄するだけではかなわなかった、側枝の洗浄もできる可能性がでてきています。

洗浄液が動くことで、新鮮な洗浄液が常に壁に接し、壁の汚れが分解されたり、洗い流されたりしていきます。

 

 

 

また現在、将来的に研究をすすめているのは、PDT(photodynamic therapy:光線力学的療法)です。

そもそもの意味は、がんの細胞になじみやすくて、かつ光感受性がある物質を、がんの中にとりこませておいて、そこにレーザー光を照射すると、

がん細胞の中で光化学反応がおきて、標的であるがん細胞が死んでくれるという方法です。

現在は、エキシマダイレーザーを使って表面にできる皮膚のがんに治療に有効といわれています。

 

根管内の掃除、消毒においてもこれを利用してみようという動きがでています。

これはレーザーの波長に反応する物質を根管壁などに付着させ、そこにレーザーを照射することで、反応を起こし、

殺菌作用を生み出させようというものです。

これがあれば、根管の中からばい菌を駆除することが可能となっていくと思います。

現在研究がすすめられている分野のひとつです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それとこれは以前テレビでやっていたのですが、深紫外線、LEDを用いた研究も進められているようです。

 

「赤崎・天野、両先生の教えの賜物」、日機装が深紫外LEDを2015年春から量産(日経デジタルヘルス)

 

 

レー ザーって、私も最初は誤解していたんですが、レーザービーム自体が、ウルトラマンの手からでるようなスペシウム光線?のように、光自体がなにか力や効果を 持っていて、ものを燃やしたり、破壊したりすると思っていたんですけど、研究していくと、レーザーが出るという現象が周囲に圧力や熱などの効果をおこし、 その結果、照射したものに影響を与えるんだなってことです。

 

今、新しく、「PDT」というのがあります

PDT

Photodynamic Therapy(光線力学療法)

「光感受性薬剤を治療前に注入しておき、この薬剤の特異な吸収波長に合わせたレーザー光を照射することによって

活性酸素を発生させる方法で、悪性腫瘍の治療などに用いられる。」

具体的な原理は、

悪性腫瘍細胞に親和性を持つ光感受性物質とレーザー光との併用で腫瘍細胞内で光化学反応を起こさせ、

標的細胞を選択的に死滅させる治療法。正常組織には影響を与えないので、低侵襲で形態や機能の温存に優れた治療法。

要するに、

レーザーに反応しやすく、かつ、がん細胞にくっつきやすい薬を投与しておいて、がんのところに沈着させて、そこにレーザーを照射すれば、反応を起こして、薬があるがん細胞だけをやっつけられるよ、という治療法です。

最近はa-PDT(Antimicrobial photodynamic therapy)として、レーザー光を利用した殺菌方法が注目されています。

これは、レーザーの光自体で殺菌してやろうというものです。要するにレーザービームが当たったところが殺菌されていったり

炎症症状が緩和されていったりするというイメージですね。

参考文献(デンタルダイヤモンド社 レーザー歯学の手引きより)