ここでは、今後歯学部大学院でレーザーの研究をしてみたい。でもどういう分野があってどういう研究がなされているのか気になる!という
学部学生さん向けにまとめていこうと思います。ちなみに当科では、Er:YAGレーザーに関する研究を行っているので、Er:YAGレーザーについて、歯科分野でどういう治療に利用されているのか紹介したいと思います。有名なところでいうと以下のような分野です。
・歯石除去、歯周病治療、歯周病の予防
・歯茎の黒ずみを消す(色素沈着除去)
・口内炎、口角炎/義歯による傷口の殺菌
・知覚過敏
・虫歯治療
・歯肉切除、小帯切除、歯根端切除などの小手術
・手術や抜歯後の治癒促進
などで使用されています。
一般開業医さんでも広く使用されていますが、機器の値段が高いこともあり、爆発的な普及とまではなっていないのが現状です。
そして、一般開業医さんが治療にレーザーを使用していく根拠となる結果をだしていくのが大学での研究の使命となります。
大学で研究がなされ、このような治療への応用が可能であるという確固たるデータが重要となります。
そこで、私が研究しているのがEr:YAGレーザーの根管治療への応用です。
歯内治療ってなんだっけ?という学生さんは、以下をみて少し思い出してください。基礎実習などでもやったと思いますが。
https://guides.lib.kyushu-u.ac.jp/endodontics
この歯内治療(根管治療)にレーザーを使用していくという研究をしています。
現在、歯内治療へのレーザー応用は
・知覚過敏処置
・覆髄・断髄
・根管治療(殺菌、消毒、スミヤー層除去)
などです。
中でも根管治療というところで「歯髄に対する治療」というところに書いていますが、
「神経を除去したら、同じ道具(リーマー、Hファイル、Kファイル)で、根管の壁にこびりついた汚れをこそぎ落とすイメージで掃除をしていきます。」
もしくは
「根元に膿を蓄えた根っこである場合、根の中を洗浄、掃除することで、根元の膿を吸い出して、きれいにしていくために掃除をしていきます。」
この部分をレーザーでより手軽にきれいにできないかというところを行っています。
根管治療ですが、実際治療をしていると、様々な問題点がおきてきます。(大学病院なので特に)
問題点
・根管の壁の汚れを必死に取ろうとしていたら、壁が傷ついて、ひび割れが生じてしまった。もしくは、いつのまにか根管に穴があくほど掃除してしまっていた。
しかもひび割れだったものが、掃除のしすぎで、完全に割れてしまって歯を抜歯しなきゃいけなくなってしまった。
・根管がすごく曲がった形をしている、または変な形をしている、めちゃくちゃ細いなどの理由で掃除道具であるファイルやリーマーで汚れをとることができない。
・根管の根元に膿がたまっているが、そこまで掃除道具が届かないし、消毒薬も確実には届かない。
・根管の中にいる細菌がしぶとい。
などなど、根管治療は直視できないこともあいまって、治療が難しく、病院の治療方針や、主治医の技量によるところも結構でてきます。
極端に言えば、主治医によって、根の治療は無理だから、抜歯という判断をくだしてしまうこともあります。
レーザーを併用することにより治療の困難性が改善できて、どんな歯科医師でも歯を抜かずに残していけるような状態にもっていければ、
患者さんもハッピーですし、治療する歯科医師もハッピーになるわけです。