ここでは災害に対するハード対策について説明します。
災害対策は、ソフト対策だけでもハード対策だけでも成り立たず、ソフトとハードの両面から成されなければなりません。
ハード対策とは、防波堤や川の護岸設備など、何かしらの構造物をもって災害による被害を抑える方法です。
普段何気なく目にしている物も、ちゃんと被害を抑えるために活躍しているんだ!ということや、なかなかお目にかからないけれど立派に役目を果たしている構造物などを、分かりやすくご紹介します!
川の水をせき止めて水を溜めることで、川が溢れないよう調整をしたり、渇水時に溜めた水を供給したり、また、流れてくる土砂を沈めて、災害を未然に防ぐための構造物をダムといいます。
一口に「ダム」と言っても、様々な種類があります。
まず、ダムの材質によって大きく2種類に分かれます。
一つは、コンクリートダム。その名の通り、コンクリートで作られます。
コンクリートを用いて化学的にダムを固めるため、ダムの傾斜を急にしたり、ダムの横幅(河川方向に対するダムの敷幅)も小さくて済みます!
しかし、基礎地盤にある程度の強度がないと作れず、コンクリートが固まるのは待たなくてはいけないため、工期が長い、といった欠点があります。
写真は、コンクリートダムの一例、夕張シュローパダムです。
(写真引用元:国土交通省水管理・国土保全局 ダムコレクション col.2...放流写真コレクション http://www.mlit.go.jp/river/damc/special/vol02/index.html 2017年2月28日アクセス)
もう一つは、フィルダム。これは、岩や土などの自然材料によって作られるダムです。
コンクリートダムと大きく違うのは、ダムの傾斜が緩やかで、ダムの横幅が広い点です。
また、コンクリートダムを配置できない強度の低い地盤でも、フィルダムであれば建設可能な場合が増えます。
写真はフィルダムの一例、奈良俣ダムです。ダムの表面が均質なコンクリートではなく、石が散りばめられていることが見てとれます。
(写真引用元:国土交通省水管理・国土保全局 ダムコレクション col.2...放流写真コレクション http://www.mlit.go.jp/river/damc/special/vol02/vol02_dam103-01.html 2017年3月3日アクセス)
堤防も、川沿いに設置されるものや、海に面して設置されるもの等、種類が色々ありますが、今回は川沿いの堤防について説明します。
堤防は、川の水がはん濫しないように作られたものです。
川岸の高くなっている部分が堤防で、土手とも呼ばれます。ドラマ等でも堤防の上を歩いたりするシーンはよくありますし、なじみ深いものかと思います。
写真(執筆者が2016年12月2日に撮影)は、九大伊都キャンパス近くの周船寺川です。これは小規模な川のため、堤防の中にまで道はありませんが、写真右の道が堤防の上部分(正しくは"天端")になります。
また、最近ではスーパー堤防という、通常の堤防高の30倍程にもなる高規格堤防もあります。通常の堤防は、川岸から堤防に向かって高度が上がり、その後堤防の内側でまた高度が下がります。そのため、水位が堤防高を超えると水が堤内地に溢れ出る恐れがあります。しかしスーパー堤防は、堤防の内側の場所もろとも、川がはん濫しても大丈夫である堤防高に施工されます。これによって、水が居住地に到達する時間を長引かせたり、水の勢いを抑えたりすることが出来ます。
(写真引用元:基礎からわかる最新建築・土木のしくみと技術 井上国博 [ほか] ナツメ社)