Skip to Main Content

私の卒論ができるまで: 柳龍臣(九州大学工学部・2023年卒): できるまでの道のり

九州大学の図書館でティーチングアシスタントとして働く院生が学部時代に卒業論文にどのように取り組んだか紹介します。

目次

初めに

  • 私の卒論シリーズ
  • 今回の先輩は柳龍臣さん

 

できるまでの道のり

  • 卒論の内容と長さ
  • 最終提出までのスケジュール
  • ここがポイント

 

Q&A

  • 普段の生活との両立
  • 活用したツール

 

終わりに

  • オススメ本
  • 後輩へのメッセージ

 

おまけ

  • 卒論の内容をもっと詳しく
Profile Photo
柳 龍臣
連絡先:
本ガイドは図書館TA(Cuter)として勤務した際に作成したものです。

勤務期間 :2023年4月~
作成時身分:大学院生(修士課程)
作成時所属:九州大学大学院工学府機械工学専攻

卒論の内容と長さ

卒論内容について

突然ですが皆さんは何か物を作ろうとしたりする時って何を考えますか?

想像ですけど、きっと色々なアイデアを出して、様々な条件やスペックを満たすものを選ぶと思います!

昔のモノづくりではそのように、設計者の知識と経験で試行錯誤して設計を行なっていました。

しかし近年では、効率化や低騒音化が求められるようになり、従来の試行錯誤的な設計ではどうすれば効率化できるのかといった部分やどうすれば低騒音化できるのかと言った部分にうまくアプローチできなくなりました。

そのような経緯があり、機械学習や最適化アルゴリズムを使うような、データを用いて設計を行う研究が盛んに行われるようになりました。

 

私のテーマはそう言った研究に近く、データに基づいて設計を行うものでした。


卒論のタイトルは「キャビティ音の低減に関する格子ボルツマン法を用いた数値解析」というもので、簡単にいうと、空気の流れが凹み形状に流れることで音が出る現象について、最適化アルゴリズムを用いて音が出なくなるような形状を探査するという研究でした。

この研究が成功すると新幹線の連結部やヒートシンクなど至る所に存在する凹み形状で低騒音化でき、利用者の快適性の向上に繋がります。

キャビティの概略図(弊研究室ウェブサイトより)


卒論の分量

52ページ 文字数にして約2万文字 でした。

分量に規定はないので少なくても気にしないでいいと思います。

最終提出までのスケジュール

完成までのスケジュールは以下のようになります。

この中で重要度の高いものについて下記に詳しく書いていきたいと思います。

 時期    やったこと

 4年生の4月

 

 5月

 6月~8月

 9月

 10月

 11月

 12月

 1月

 2月

 3月

 研究室選び&研究室配属

 卒論テーマ決め

 研究室のゼミで勉強

 院試勉強

 夏休み

 研究を本格的に始める

 毎週指導教員と話合いながら研究

 研究室の中間報告でこれまでの成果を発表

 卒論執筆開始

 卒論提出&卒論発表会

 春休み


<研究室選び>

機械系の研究室選びは他の学科と比べて少し遅く、4年生になってからあります。

私が研究室を選ぶ際に考慮したのは研究室の雰囲気や指導教員との近さです。研究室では、ずっと同じメンバーと過ごすことになるので自分に合うか合わないかというのは非常に大事な部分になってきます。また、教員の方が指導に積極的なのか、そうでもないのかという話や、自分が懇切丁寧な指導をされたいのか、自主性に任されている方がいいのかというのも考えながら選ぶといいです。

さらに、最近では就活の早期化により、インターンに行かなければ早期選考がもらえず、就活が不利になってしまうことがあるので、インターンに寛容な研究室か・休みやすいかという点も大事な要因になってくると思います。先輩からいろいろ話を聞いて考えましょう。

 

よく研究室選びについて質問されることがあるのでそれについても書きたいと思います。

Q1.研究室によっては企業とのコネがあって就職が有利に進むようなところがあるのでしょうか?

A1.あるところはありますが、そこまで気にしなくていいです。

自分で情報収集をしたり、学内の就活支援センターなどを利用して、ちゃんと就活を行えばコネを使うまでもなく大手に就職できると思います。(実際に自分の周りはそんな感じです。)

私個人としては自分から進んで、情報をとりにいって満足いく就活をして欲しいなと思います。

工学部だからといってメーカーだけを見るのではなく、他の業界も見るべきだと思いますし、他を知ることで自分が本当にやりたいことを見つけられる可能性もあります。一生を決める大事なイベントなので、推薦があるからいいやという気持ちで受動的に生きないで欲しいです。

 

Q2.自分がやりたい研究があるのですが、ブラックだという噂を聞くので迷ってます。どうすればいいでしょうか?

A2.私としてはブラックだと言われる研究室に行くことには反対です。

ブラックと言われる研究室はそれだけの理由があるので、やめておいた方が無難だと思います。(私が知る限りでも、厳しい指導・無理難題を言われ、毎日夜遅くまで残らないといけない・予算がなくてうまく研究ができない・教授の機嫌によって大きく左右される、など色々同級生から話が回ってきます。)

ブラックなところに行くと研究自体が嫌いになるかもしれませんし、下手すると精神的に追い詰められて休学や退学などに追い込まれる可能性があります。

研究内容で決めるのではなく、自分の心身を第一に考えて決めて欲しいです。

 

Q3.研究が就職にそのまま結びつくイメージがあるのですが、大企業の就職に有利な分野とかありますか?

A3.これはどの分野に行ってもあまり変わらないイメージです。でももし将来的にも使えるようなスキルが欲しいのであれば、プログラミングや機械学習などをやっているような研究テーマにつくべきだと思います。

やはりどうしてもある種の研究や実験のテーマをやっていると、エクセルしか使わない・実験ばかりでスキルが身に付かないことがあります。

研究生活を通じて成長したいと考えている方なら、研究テーマ選びの時には注意して欲しいなと思います。

 

Q4.GPAが低いので、自分がやりたい研究を行っている研究室に入れないかもしれないです。どうにかならないでしょうか?

A4.研究室にはGPA順に振り分けられるのでもし低いGPAだったら、そうなる可能性は非常に高いと言えます。むしろブラック寄りの研究室に配属される可能性も十分に考えられます。

ですが大学院進学の際の院試の成績で、また新しく研究室を変えることができるので、もし学部の時にうまく行かなくても院で変えるチャンスがあります。(大学院から他の大学に行くのも手です。)

人間関係や研究内容がガラッと変わるのでそれなりにはしんどくなるかもしれませんが、挑戦してみる価値はあると思います。

 

ぜひいろんな研究室に見学に行き、後悔のないように選んでいきましょう。


<研究テーマ選び>

卒論の研究テーマですが、僕はいくつか用意されたものから、流体解析の研究がやりたかったのでこのテーマを選びました。

研究室によっては自分で研究テーマを探すこともありますが、基本的には先生が用意していることが多いです。

自分のイメージとして、実験はやればやるだけ結果が出るので精神的にはとてもいいと思います。しかし実験を一回やるのに数時間かかったりするなど時間的な制約がつきます。

解析とかプログラミング系の研究では、基本的にはコードを書くことが多く、バグをひたすら直したりなど、根気のいる作業が多いですが、プログラミングなどのスキルは身に付きます。また、成果が出ないことも多々あり、それまでは苦しいです。

 

おすすめとしては、新しい技術や就活につながりそうなテーマを選ぶことです。

近年ではプログラミングや機械学習などのスキルが重要視されているので、それに触れられるような研究だと就職活動でも評価されやすい気がしますし、実際周りではそこが評価されて内定をもらっている感じもします。(まあもちろんなくてもokですが、汎用的なスキルという点ではそういった分野がいい感じがします。あくまでも個人的な意見です。)


<院試>

院試前は院試休みで(研究室によりますが)1ヶ月以上休みになります。

ここでしっかりと勉強して、自分の行きたい研究室に行けるように頑張りましょう。


<卒論執筆>

私は後期からは週に1度、進捗を確認し合うような形になり、それ以外でも困ったことなどあれば指導教員に話に行きました。

何かわからないことがあれば、一旦は自分なりに調べる→それでもできなかったら先輩に尋ねる→それでもできなかったら指導教員に聞くと言った流れで行うといいと思います。

卒論に関連して読んだ論文は10本程度、本は5冊程度読みました。一般的に卒論を書く人に比べて少ないかもしれません。


<卒論試問>

卒論試問は同じ分野の研究室同士で行います。

自分の研究成果をまとめたものを教授や准教授の先生方の前で発表します。

基本的にはちゃんとスライドを作って発表練習をしておけば大丈夫だと思います。

ここがポイント

先生や先輩に頼ること!!

ぜひ研究室に入ったら先生や先輩を頼って欲しいです!

研究室では今までの授業とは違って、自分で行動していくことが求められます。

先生や先輩を活用すると思って自分で積極的に聞きに行って、解析ツールの使い方や実験器具の使い方、論文の書き方などわからないことをどんどん聞いて、自分でなんでもできるようになりましょう!

次のページへ

次のページ 「Q&A」 へ  >>

普段の生活との両立

活用したツール