ここまで読んでいただき、ありがとうございます!ここからはもっと詳しく私の卒論内容をご紹介します!
イントロダクションの内容はできるまでの道のりで紹介したので、そこを見てみてください。
マテリアルアンドメソッドでは、調査や分析の方法について記載しました。調査は福岡県内の酪農牛舎で2022年11月~2023年12月まで月に1回実施し、粘着トラップに捕らえられるサシバエの数と1分当たりの牛の忌避行動の頻度を毎時間計測しました。これらのデータに、温度計で計測した牛舎内の温度のデータと、国立天文台が発表している福岡県の日の出・日の入り時刻のデータを加え、エクセルやRを用いて分析を行いました。
リザルトでは、分析で得られた4種類のグラフを提示しました。はじめに、サシバエの飛翔活動と牛の忌避行動頻度について、24時間の変動と1年間の変動を棒グラフと折れ線グラフで表しました。これらのグラフからサシバエは日中にのみ飛翔し、牛の忌避行動もサシバエが飛翔する日中にのみ起きることや、サシバエの飛翔活動も牛の忌避行動頻度も秋にピークを迎えることが分かりました。2つ目に、サシバエの飛翔活動における気温の影響を散布図で示し、線形回帰分析の結果、平均気温が約23℃のときに最もサシバエの飛翔活動が活発になることが分かりました。3つ目に、サシバエの飛翔活動と牛の忌避行動の関係について散布図を示し、両者には正の相関があることが判明しました。最後に、異なる温度下でサシバエの飛翔活動が牛の忌避行動に与えるインパクト(サシバエ1匹あたりの牛の忌避行動頻度)について、1年間の変動を表した折れ線グラフと、温度別の結果を表した散布図を提示しました。これらのグラフから、インパクトは春に最も高くなり、平均気温が約28℃のときに最大となることが判明しました。
ディスカッションでは、3つのポイントで議論を展開しました。1つ目はモニタリング法の評価です。今回の調査で、サシバエの飛翔活動と牛の忌避行動頻度の間には正の相関があることが分かったため、牛の忌避行動頻度はサシバエのモニタリングの指標として有効だと判断できます。牛の忌避行動頻度は牛を観察するだけで計測できるため、従来よりも簡単にサシバエのモニタリングが可能となりますが、気温次第でインパクトが変わるため、それを考慮しながら活用する必要があります。2つ目はインパクトが変化した要因です。先行文献から、サシバエの吸血頻度の変化と、牛の活動の変化が要因として考えられます。前者は、実験室内で温度別のサシバエの吸血量の変化を記録することで、確かめることができるため、今後調査したいと考えています。3つ目はサシバエの防除のタイミングです。害虫防除を適切に実施するためには、モニタリングに基づき、大量発生が起きる前に取り組む必要があります。今回の調査では、5月と10月に大量発生が起きているため、4月頃と9月頃が適切な防除のタイミングだと考えられます。また、害虫防除を効果的に実施するためには、害虫が最も集中し、移動が少なく、防除を実施しやすいタイミングを見図らなければなりません。先行文献から、サシバエは適切な宿主を見つけると宿主の近くにとどまる傾向があることが分かっており、今回の調査で、サシバエは日中にのみ活動することが分かりました。そのため、サシバエが活動しない夜間に、牛舎周辺で休んでいるサシバエに防除を実施することが、最も効果的だと考えられます。夜間にサシバエがどういった環境で休んでいるかは、まだ明らかになっていないため、今後調査したいと考えています。
以上が、私の卒業論文の内容になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!