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イスラーム科学の発展の背景: 最後に

まとめ

 簡単ではありましたが、イスラーム科学が発展した理由について述べました。科学者たちの駆動力の理由の背景にクルアーンの内容に伴うイスラム教の教義の内容が強いことは少しでも理解したかと思います。今回はイスラーム科学の発展の要因の主に一つに絞って説明しましたが、実はそれについて学べば学ぶほど他の要素も見えてくるはずです。しかし、アラビア語以外の言語ではどうしても限界があります。より詳しくより積極的にイスラーム科学を理解にはアラビア語を理解することが必要です。イスラーム科学者の駆動力となったイスラム教義、主にその内容をまとめるクルアーンやハディースを理解することはより重要になってきます。

 イスラーム科学は他の文明の科学の研究と比べてまだ進んでいないと考えられます。それを理解し、より多くの人にイスラーム科学の意義やもっていた役割を伝えていくことが重要になってきます。それを理解することはこれからの科学の発展の主な源泉になるのではないかと考えます。ということで、ぜひアラビア語に挑戦し、自分にとってより新たな世界を切り開こうではありませんか。

今後の展望

 ガイドを読まれた方はお気づきかと思いますが、ガイドの続きがあるべきでした。それは本ガイドと切っても切り離せない「宗教」と「科学」の関係です。西洋では、「宗教」と「科学」は分離されると言われていますが、イスラム科学の場合はそうではありません。双方はどのような関係を持ち、その関係がどのような意義を持つかを時間的・物理的な関係上述べることができません。また、このことはガイドが専門知識を持たない学業に関わる方々向けという範囲を超えることにもなってしまいます。そのため、もっと知りたい方には、イスラム教やキリスト教の歴史的な流れに関する知識以外も宗教と科学の関係について書かれた一定レベルの専門的な著書や論文をお勧めします。自分が読んだものの中に特にこの二つの論文が面白かったため共有します。順番的に1を読んでから2を読むことをお勧めします。

 1.「『宗教と科学』に関する歴史的考察」(下野葉月)

 2.「イスラーム世界における文理融合論 : 『宗教と科学』の関係をめぐる考察」(小杉泰)