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遊び感覚でたしなむ英語 コメディ作品からビデオゲームまで: はじめに、コメディ(アニメ)

遊びながら学ぶ英語学習指南

はじめに

英語学習法と聞いて何が思い浮かびますか?書籍、ニュース、TEDトークなど、たくさんの選択肢が思い当たるかと思います。一方でどれもなんとなくお勉強感が出てしまい少し堅苦しく感じることがないでしょうか?英語は大学生活や研究活動においても避け難い存在というのも、少なからず関係しているかもしれません。怠惰な筆者はこう考えました。英語学習を娯楽(趣味)感覚でどうにかできないか?本稿ではそのような発想をもとに、娯楽作品を通じて楽しみながら英語を学ぶ方法について紹介します。娯楽として楽しんでいるだけで英語力がついでに身につく(かもしれない)というおいしい話です。英語が好きな人には興味の幅を広げる一歩に、苦手な人にとっては興味の糸口になれたら幸いです。

英語を勉強する男の子のイラスト

タイトルに込めた「遊び感覚でたしなむ」というテーマは、気軽にリラックスした雰囲気で楽しく学ぶ魅力を強調するために設定しました。娯楽作品を通じて英語を学ぶ方法は、筆者が様々な教材を試して辿り着いた手法です。娯楽作品はアニメやゲーム、Podcastなど幅広いコンテンツを含みます。これらの作品の最大の利点は敷居が低く、モチベーションを維持しやすいという点です。題材は比較的カジュアルですが、実際の会話におけるニュアンスやテンポ、イントネーションの違い(アメリカ英語、イギリス英語など)を学ぶ上でも非常に有益です。

以下では、遊び感覚でたしなむ英語学習法をトピック別に分け、順に紹介していきます。紹介するのは、コメディ作品(アニメ、実写)、Podcast、YouTube、ビデオゲームです。よもやま話としてコラムも用意しました。

Part 1.1: コメディ(アニメ)

まずはじめに紹介するのはコメディドラマです。コメディとは人を笑わせること、ユーモアを主体とした演劇のことです。カジュアルな内容のため気軽に視聴できるだけでなく、1話完結が多く集中力が持続しやすいため、最もおすすめの題材の一つです。筆者がおすすめする作品は以下の3つです。


South Park

ジャンル 日常系
アメリカ英語/イギリス英語 アメリカ英語
過激度(1-3) 3

South Parkは、アメリカ・コロラド州の架空の街South Parkを舞台に4人組の小学生の愉快な日常を描く作品です。コミカルな見た目ながら表現が過激な部分も多いことが特徴的で、痛烈な社会風刺をすることで広く知られています。人種差別や政治問題、新興宗教などのアメリカにおける社会問題を隠すことなく風刺する内容は痛快でかつ社会問題を知るきっかけにもなります。キャラクターのセリフは基本的に放送禁止用語ばかりで要注意ですが、刺激が欲しい方におすすめ。

Matt Stone and Trey Parker talk 25 years of 'South Park' - Los Angeles Times

South Park, Comedy Central

中でも筆者が個人的に好きな回はチューバッカ弁論(Chewbacca defense)という概念が登場する"Chef Aid"というエピソードです。登場人物の一人が不当な理由で訴えられるが、有能な弁護士が裁判に全く関係のない論点(この場合はスターウォーズのキャラクター、チューバッカ)を登場させることで、論点をすり替え思考を誘導するような弁論"チューバッカ弁論"を繰り出し、見事訴訟から免れるという内容。このチューバッカ弁論は実際に同様の論法を使用されたO・J・シンプソン事件という事件のパロディで、チューバッカ弁論という言葉はネットミームにもなりました(ネットミームについてはコラム参照)。

Chewbacca defense - Wikipedia

South Park "Chef Aid" より引用

他にも、中国における検閲を皮肉った"Band in China"(Banned in China のもじり)や、新興宗教のScientologyをパロディにしたエピソードなどなど。ちなみに2023年3月時点の最新話は日本のトイレについての話でした。日本の多機能トイレが米国で需要が高まっていることを受けた内容ですが、日本製トイレの良さに気づいたメインキャラクターの父親が街にその良さを説いて市長から表彰されるが、過激派(肛門科医)に撃たれるという(ふざけた)話でした。

視聴可能メディア: 公式サイト https://www.southparkstudios.com

The Simpsons

ジャンル 日常系
アメリカ英語/イギリス英語 アメリカ英語
過激度(1-3) 1

Simpsonsは黄色肌のアメリカ人中流家族の1日を描く1989年から続くアメリカのコメディドラマ(アニメ)の元祖。South Parkに比べると描写はかなりマイルドでシンプルでわかりやすく、それでいて社会風刺に富む興味深い話がたくさん登場します。日本で見たことのある方も多いのではないでしょうか。日本のアニメに例えるとサザエさんよりクレヨンしんちゃんに近い印象をうけます。愛らしいキャラクターが多く、それぞれ特徴的な英語を話すのが個人的に好きな点です。有名なエピソードとして、主人公がうまくいかなかった時にしばしば発する"d'oh"というフレーズが有名になりすぎた結果オックスフォード英語辞典に収録されていることが知られています。

The Simpsons (TV Series 1989– ) - IMDb

The Simpsons, 20th Television

視聴可能メディア: Disney+

The Midnight Gospel

ジャンル 日常系
アメリカ英語/イギリス英語 アメリカ英語
過激度(1-3) 3

上の2つは王道の作品ですが、ちょっと趣向を変えた変化球ものとしてThe Midnight Gospelがあります。サイケデリックな色調の世界で主人公が違う惑星の友人に会いに行くというお話です。この作品はもともとPodcastとして収録されていた話を音声はそのままにアニメに移植したという体の一風変わった作風です。死やドラッグなどシリアスなテーマが多いですが、会話を補完するポップな色合いのアニメーションが内容に深みを生み出しています。新しい世界観に触れたい方におすすめ。

The Midnight Gospel - Rotten Tomatoes

The Midnight Gospel, Netflix

視聴可能メディア: Netflix

作成者

Profile Photo
加藤 修三
連絡先:
本ガイドは図書館TA(Cuter)として勤務した際に作成したものです。

勤務期間 :2022年4月~2023年9月
作成時身分:大学院生(博士課程)
作成時所属:九州大学大学院 理学府 物理学専攻
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コラム: コメディ作品を通じて文化を理解する

ユーモアは文化的な背景と深い関わりを持っています。コメディ作品を見ることでユーモアを楽しむこともまた、言語の後ろにある文化に対する理解にも繋がります。この視点から見ると、コメディ作品は単なる娯楽作品のみならず、言語と文化理解のきっかけと、いままで以上に奥深いものに見えてこないでしょうか? 興味深いことに、英国のロックバンドThe 1975が2022年にリリースしたアルバムのタイトルは「Being Funny in a Foreign Language」でした。この表現を直訳すると「外国語で面白おかしい気持ちになる」となりますが、一部のファンの間ではこのタイトルに外国語のユーモアを理解することがその文化に対する深い理解に繋がるというメッセージが込められていると解釈されています。

https://www.reddit.com/r/the1975/comments/xz4p19/
what_does_the_title_mean_being_funny_in_a_foreign/

The 1975 Being Funny in a Foreign Language

”Being Funny in a Foreign Language", The 1975 (2022)

コラム:South Parkを訪ねて

South Parkはアメリカ・コロラド州が舞台のアニメです。筆者はSouth Parkのファンであり、アメリカ出張の途中でコロラド州デンバーのデンバー国際空港をトランジットで訪れることができました。残念ながら観光する時間はなかったのですが、空港で手に入れたSouth Parkグッズがこちらの靴下です。Mr. Garrisonというキャラクターと彼の人形Mr. Hatがモチーフになっていて、非常に趣味が悪いテイストです(笑)。機会があればじっくり街の方も堪能してみたいです。