次はYouTubeやInstagramなどの映像系SNSに目を向けてみます。SNSはドラマなどの映像作品に比べて映像の尺が短く気軽に視聴できる点が魅力です。英語関連のコンテンツは星の数ほどありますが、筆者のおすすめを少しばかり紹介します。
だいじろー Daijiro
ジャンル | 雑多 |
アメリカ英語/イギリス英語 | アメリカ英語,イギリス英語,東南アジア英語 |
過激度(1-3) | 1 |
主に英語の発音/アクセントに関する面白い話を解説する番組。典型的なアメリカやイギリスの発音をはじめ、言葉の使い方の違い(例えばTomatoの発音など)からニッチな中国系やタイ系の訛りまで、発音の仕方や特徴を解説。本人は留学経験なしで日本育ちだが発音の面白さに気づいて今は発音の講師をされているという異色の経歴。教科書では味わえない、リアルな発音の奥深さが楽しめます。
視聴可能メディア: YouTube/Instagram
Link: https://www.youtube.com/@daijirojp / https://www.instagram.com/db_daijiro/
StudyIn 英会話
ジャンル | 雑多 |
アメリカ英語/イギリス英語 | アメリカ英語,イギリス英語 |
過激度(1-3) | 1 |
帰国子女と日本育ちのグループが英語のあるある動画を主に制作。日本育ちの一人が関西人ということもあり英語の間違った使い方や不条理なルールをコント調にネタにする動画はかなりうまくはまっていて面白いです。他にも英語圏で実際に英語を使ってみるVlog動画など。面白いだけでなく実践的でためになる内容ばかりです。内容はどちらかと言えば基礎的で主に中高生から大学生向き。
視聴可能メディア: YouTube/Instagram
Link: https://www.youtube.com/@StudyIn / https://www.instagram.com/studyin.jp/
KLR productions
ジャンル | 雑多 |
英語アクセント | アメリカ英語 |
過激度(1-3) | 1 |
ネット上の動物動画にアテレコ(Voiceover)をする番組。元々セリフが存在しない動物動画にセリフをあてることで面白おかしいストーリーを作るというコンセプト。英語ならではのウィットに富んだジョークも面白いです。また、重要なことに基本的に動物の動画なので時間を忘れて見ることができます。
上の例では、プールに入りたい犬が飼い主に怒られつつもプールから出てこないというシーンにアテレコ。
視聴可能メディア: YouTube/Instagram
Link: https://www.youtube.com/@klrproductions / https://www.instagram.com/klr_productions/
最後のトピックはビデオゲームです。ビデオゲームは映像作品とは異なり、自分の手でキャラクターを動かせるという利点があります。そのため、まるで実際の会話のように、主体的な行動を通して英語に触れることができます。
ジャンルは特に何でも構いませんが、アクション/アドベンチャーゲームがおすすめです。一般に海外のゲームタイトルであれば英語音声と字幕が用意されています(日本語のタイトルで英語音声があるかは作品によります)。英語音声+日本語字幕でも構いませんが、おすすめは英語音声+英語字幕です。最初は慣れが必要ですが、大抵のゲームは多少言葉がわからなくても問題なく遊べるようにデザインされているので、大きな心配はいりません。
以下では、筆者の印象に残っている2作品を紹介します。
Red Dead Redemption 2
ジャンル | アクション |
アメリカ英語/イギリス英語 | アメリカ英語(古) |
過激度(1-3) | 2 |
西武開拓時代から産業革命までの変革期におけるギャング(無法者)を描いたオープンワールドアクションゲーム。ゲーム内の行動の自由度がほとんど現実世界かと錯覚するほど高く、西部劇さながらのアクションが楽しめます。特筆すべきはキャラクター間の会話のバリエーションも様々でリアルな会話を楽しめる点です。20世紀が舞台のため現代的な英語とは一風異なる古き良き英語を楽しめます。わかりやすい例では仲間のことをfolksと呼んだりなどがあります。
ちなみに筆者はこの作品で"Sure"と"Fair enough"の使い方を理解しました。"Sure"は英語の教科書にも登場するので馴染みがあるのですが、"All right"や"OK"など同義の言葉があるので違いがよく分かりにくいです。この作品では"Sure"はものを頼まれた時に"(しょうがないけど)いいよ"というニュアンスでしばしば使用されていました。"Fair enough"も古風な表現ですが同様の了承のニュアンスで使います(この二つでわかるように、要は主人公がいろいろ頼まれるシーンが多いということですね)。実際に会話で使われているのを聞いて言語をマスターするように、ゲームでも同様の学習プロセスが通用します。
Red Dead Redemption 2, Rockstar Games (2018)
Animal Crossing (どうぶつの森)
ジャンル | コミュニケーション |
アメリカ英語/イギリス英語 | アメリカ英語 |
過激度(1-3) | 1 |
もうひとつのおすすめはどうぶつの森英語版(Animal Crossing)です。どうぶつの森は、一人の村人としてどうぶつたちが暮らす村や街に住み、やりとりをしたりすることで自分のライフスタイルを遊ぶというお馴染みのゲームです。このゲームの魅力の一つにどうぶつたちとの会話があります。どうぶつたちは独特の会話のクセがあり、例えば語尾になにかアクセントがつきます。英語版ではこの点がうまく英語風にデフォルメされており、コミカルな会話を英語で楽しめます。たまに格言みたいなことを呟いたりと、英語の愛らしいフレーズにたくさん出会えます。
Animal Crossing: New Leaf, Nintendo (2012)
以下は英語バージョンの格言っぽい発言の例です。"You've broken the gravy boat that is me."。"that is me"のところはおしゃれな表現で個人的に気に入っています。(ともあれ、どうぶつを困らせる行動をしないようにしましょう)。
以上がビデオゲームの紹介でした。ゲームの唯一の注意点は時間を忘れてやりすぎてしまう点で、遊ぶ時間はうまく自制する必要があります。
インターネットの興味深い文化にネットミームというものがあります。ミームとは個人から個人へと伝達される文化や概念の一部を指し、インターネットを通じて広がるミームをネットミームと呼びます。平たく言えばネタ動画やネタ発言のことを指します。英語圏でもネットミームは盛んで、インターネットをしているとどこかで出会います。これも基本的には娯楽作品の一種とみなせるので、英語を楽しむ手段として活用できます。
例えば、"Swole Doge vs. Cheems "というものがあります(柴犬はしばしばネットミームとして登場します)。これは強者と弱者を並べるというネタを使う時によく使用されます。
例えば、以下のように使用されます(コンピュータのRAMの容量に関するネタ)。
などなど星の数ほどあります。よく知られたネットミームはKnow Your Memeというサイトにデータベースとして登録されており、眺めてみても興味深いものばかりです。気になる方はぜひ訪れてみてください。https://knowyourmeme.com/memes/
swole-doge-vs-cheems
ネットミームは様々なところに出没します。興味深い例として、2023年3月に出版された生物/化学系の学術論文の画像アブストラクト(YouTubeのサムネイルみたいなもの)にこのミームが登場していました。なんとも賛否がありそうな使い方ですが、インパクトを上げるためには有効ですね。気になる方はページを覗いてみてください。
P. Parsamian, et al., Enhanced Nanobubble Formation: Gold Nanoparticle Conjugation to Qβ Virus-like Particles. ACS Nano (2023).