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失望は、実は「良い感情」だった: 脳および神経細胞の構造

落ち込んだり失望したり…そんな感情って、実はただのネガティブなものじゃありません。脳や心の仕組みを知れば、失望も前向きに活かせるんです!ここでは、失望が生まれるメカニズムから、その乗り越え方まで、わかりやすく紹介します。

脳構造と機能

大脳は、思考や言語、感覚の統合、運動の制御、記憶などの高次認知機能を担っています。その構造の中で、最も外側に位置する部分を「大脳皮質」と呼びます。さらに深部には、「大脳基底核」「辺縁系」といった重要な構造が存在します。

  • 大脳辺縁系は、はっきりこの構造というわけではなく、大脳の内側に位置している部分の総称と理解した方がわかりやすいかもしれません。大脳辺縁系には、情動反応・記憶などに関わる扁桃体海馬体を始め多くの構造が含まれます。
  • 大脳基底核:大脳皮質と脳幹を結びつける神経核が集まっているところを大脳基底核と呼んでいます。大脳基底核は運動の調整や学習など、様々な機能を持っています。代表的な構造は側坐核 (詳しくは次のページで紹介します)、線条体です。

こうした複雑で多様な大脳の機能は、多数の神経細胞(ニューロン)がお互いに情報をやりとりし、連携することで成り立っています。では、その神経細胞がどのように構成され、どのように働いているのか、次に詳しく見ていきましょう。


参考Web頁:
中枢神経系の構成のイラスト

神経細胞

神経細胞は以下の部分から成り立っています。

  • 細胞体は細胞の中心で、核(nucleus)を含み、細胞の代謝や維持を担っています。
  • 樹状突起(dendrite)は細胞体から伸びる枝のような構造で、他の神経細胞からの情報を受け取る役割があります。
  • 軸索(axon)は細胞体から伸びる細長い繊維で、電気信号を他の神経細胞や筋肉などへ伝達します。
  • 軸索の末端にはシナプス(synapse)があり、ここで神経伝達物質を介して情報が伝えられます。
  • スパイン(spine)はシナプスに存在する1ミクロン以下の棘状の構造物です。その頭部の大きさがシナプス結合強度を決めます。

参考Web頁:
神経細胞の構造

樹状突起スパイン (画像出典:Neuroinformatics Japan Center「樹状突起スパイン」 ライセンス:CC BY-NC-SA 4.0)

神経細胞の信号伝達

神経細胞の構造がどう連携し、情報を伝えているのか。信号の伝わり方を見ていきましょう。

  • 神経細胞の軸索末端から神経伝達物質(neurotransmitter; 神経細胞間で情報をえるために使われる化学物質)が放出されます。
  • シナプス接合部(synaptic gap)を介して次の神経細胞の受容体(receptor; 細胞膜や細胞内に存在する特殊なタンパク質)に結合し、信号を伝達します。

神経伝達物質と神経細胞の受容体の関係は、まるで「鍵と鍵穴」のようなものです。特定の神経伝達物質だけが特定の受容体に結合し、それによって反応が引き起こされます。次のページでは、多くの重要な役割を持つドーパミンとその受容体について詳しく紹介します。


参考文献:
Stangor, C., & Walinga, J. (2018). The Synapse.The neuron is the building block of the nervous system. In Introduction to psychology: 1st Canadian edition. B.C. Open Textbook Project.
https://opentextbc.ca/introductiontopsychology/chapter/3-1-the-neuron-is-the-building-block-of-the-nervous-system/

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