海底熱水循環図(JAMSTEC HPより)
「海底熱水」は、深海研究のうちで最もホットな分野のひとつです。全ページの写真のように海底から300°C以上のお湯が勢い良く噴出
しています。熱水は、海底に生じた亀裂から海水がしみ込み、マグマに温められることによって生成した高温流体です(上図)。この現
象も潜水艇が普及してから次々と発見され、世界中に普遍的に存在することが明らかになってきました(下図)。
この“海底温泉”は場所ごとによって成分が異なっています。陸上の温泉と同じです。おそらく岩石の種類や、海底下における気液分離
(沸騰)、堆積物との相互作用が主な要因です。僕の研究はまさにこれで、伊豆小笠原海域で見つかっている海底火山での熱水成分
を調べているところです。
海底熱水サイト(Wikipediaより)
上図は海底熱水活動が報告されている海域をプロットしたマップです。
(●) 中央海嶺型(海洋プレートが生成される場所。プレート発散境界)
(●) 島弧型(プレート衝突境界。日本列島やグアムなどがその典型例)
(●) 背弧海盆型(海嶺から見て島弧の後ろ側に形成される窪地。日本海や沖縄トラフなど)
(●) ホットスポット型(ハワイ島がその典型)
を示しています。大雑把にまとめると、これら4つのタイプはどれも地球の活動が活発で、マグマが比較的浅所まで上昇してきているため
海底熱水活動が駆動します。
海底熱水活動を発見するにはまず研究船の上から音響探査(水中は電波は伝わりませんので音波を使う)やプルーム(熱水が混じった
海水)探査などを行い、目星をつけたうえで潜水艇で直接アクセスします(下写真、しんかい6500)。
潜水艇には実際に人間が乗れるものと、船上から遠隔操作で操るものがあります。しんかい6500は有前者です。
暗黒を照らす強力なLEDライトや、サンプルを採取するアーム、サンプルを入れるバケット、その他各種センサーなどを潜航目的に合わ
せて搭載し調査に臨みます。
ちなみにあの大人気漫画「ワンピース」にも海底熱水が描かれているんですよ(62巻、606話)。
Photo by JAMSTEC