ボランティアという言葉、皆さんよく耳にしますね。簡単に言うと、ボランティアとは自らの意志により社会に貢献する活動に参加することです。テレビでも、ネットでもボランティアの姿をよく見えますが、その詳しい知識については案外しらないことも多いのではないでしょうか。
九大の皆さんが学校に入って、いろいろな活動への参加で社会に接する機会が多いと思いますが、その中で、どんな活動がボランティア活動と言えるでしょう?ボランティア活動の原則として、自発性、無償性、公共性、先駆性 の4つの特徴が挙げられます(図3)。
図3:ボランティア活動の四つの特徴
1)自発性 誰かにやれと言われて行うのではなく、その行為を自分の意思で始め、責任を持って主体的に行うこと。
質問:授業で地域創生プロジェクトに参加して、地域訪問を行う際熱心な提言をしました。それはボランティア活動なのか?
回答:それが 授業の一環 ならば、ボランティアとは言えない。ですが、それをきっかけに地域課題に興味を持ち始め、授業が終わった後で自分の意思でボランテイア活動に参加することがあります。
2)無償性 自分のできる範囲で労力や時間を提供して、しかも、それに対する報償を求めないこと。
質問:ボランティア活動に参加する際、交通費をもらっていいのかな?
回答:近年、ボランテイアにおける「無償」についての考え方がより柔軟になって、実費の弁済などを受ける ボランティア活動が受け入れられてきているので、交通費をもらっても問題ありません。
3)公共性 自分のためではなく、社会のために多くの人々と協力しながら力を合わせて行動を行うこと。
質問:最近の熊本地震の後、車で被災地にいる知り合いに支援物資を送りました。それはボランティア活動と言えるんですか?
回答:利他的行動と言えますが、個人間の活動であり 他人との協力 がないので、ボランティア活動とは言えないでしょう。しかし、町の人と一緒に支援物資を収集して被災地に寄付するのはボランティア活動となります。
4)先駆性 従来の考え方にとらわれることなく、豊かな暮らしのために先頭に立って、アイディアを創造していくこと。
質問:無償で時間と労力を提供したら、ボランティア活動にとって十分なのでは?
回答:ボランティア活動は人々がより幸せに暮らしていくための活動なので、どんな単純な活動でも参加者からの思いやりや 自由な発想 などを大切しないといけないのです。
ボランティア活動は数多くの種類があります。現代社会によくあるボランティア活動の種類及びその活動内容を次の表(表1)にまとめると:
表1 よくあるボランティア活動の種類及びその活動内容
種 類 |
活 動 内 容 |
自然と環境 |
海浜・森林などの清掃・美化、道路・公園など市民活動拠点の整備・清掃など |
防災・被災者支援 |
救援物資の提供・輸送、災害時の救援、被災地の清掃補助、復興のための募金活動、被災者のこころのケア、復興支援活動の企画・実施など |
社会福祉 |
高齢者へのレクリエーション支援、高齢者への技能指導、障害者の生活介護、障害者の社会参加協力など |
多文化共生 |
外国人に向けた生活・医療・就職相談、多文化共生の理念を広げる活動など |
地域づくり |
都市と農村の交流、地域創生イベントの企画、村おこし・地域おこしの活動など |
スポーツ・文化・芸術 |
スポーツ教室、スポーツ大会の運営、演劇の鑑賞会の企画・開催など |
子どもの育成・教育 |
子育てサポート、児童保育、 いじめ相談など |
医療支援 |
献血、巡回医療・診療、健康相談など |
法律支援 |
法律相談、法律にかかる講習会の企画・開催など |
表1の示す通り、現在のボランティア活動は目的も形式も多様化しています。やる気があれば誰でも参加出来る活動が多いですが、ある程度の 専門知識 や 技能 が必要な活動もあります。例えば、医師、看護師が行う医療サポートとか、弁護士らが行う法律相談とか、教師らが行う教育支援など、色々な分野の専門家がそれぞれの高度な技能を生かしたボランティア活動がよく行われています。
もっとボランティア活動について詳しく知りたい方には、「まあるい地球のボランティア・キーワード145―ボランティア学習事典」という本をお勧めします。
http://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/ja/recordID/1001618077
図4:まあるい地球のボランティア・キーワード145―ボランティア学習事典
この本では、ボランティア活動に関するさまざまな言葉についての解説が行われています。言葉の語源と定義だけではなく、一部の言葉に対して、その現状、課題などについても念を入れて説明してくれます。一冊の本でボランティア活動に関するいろいろな知識を手に入れることができて、ボランティア活動の現状と未来が少し見えてくるだろうと思います。