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日本語能力試験N1に合格しよう: 試験準備

日本語能力試験の上級レベルであるN1を受験する留学生向けに作られたガイドです

1) 受験の目的は?

 日本語能力試験に限った話ではないですが、皆さんが受験する目的は何ですか?①ただ試験を合格し資格を得るためですか。それとも、②受験を通して「何か」を得るためですか。受験の前に「なぜ」受験するのか、予め考えて決めておくことが重要ではないかと思います。でないと時間と費用が無駄になりかねません。

 ①ただ試験を合格して資格を得たい目的の場合。特に就職活動などのために「TOEIC」などの資格が必要となり、より短い期間で確実に高い点数を取るのが狙いとなるでしょう。ただ、その資格を得るという目的のため、試験の準備が「合格」することのみに向けられます。

 ②受験を通して「何か」を得たい目的の場合。この場合は試験から得る結果が単なる目的でなく、その「プロセス」が重要となります。試験への準備のプロセスの中で得る「何か」=知識・経験が狙いとなるでしょう。

 どの目的に立脚して準備していくか各々の人の持っている資源(時間、お金など)によって異なってくるでしょう。しかし、①と②を両立できることが一番いいと考えます。

2) 試験の構造の理解

 どんな試験もそうですが、試験の認定の目安、構成要素、点数、問いの数や内容などといった構造を予め知っておくことは合格するために必要な要素となります。それを知っておくことで、今どの時点にいて次はどのような問題がでるか予想できます。私もそれを理解しておくことで合格に近づくことを実感しましたので、皆さんにも強くお勧めします。

 

①試験の要素及び点数

 N1は他のレベルと同様に、大きく「読む」と「聞く」問題から成り立っており、「話す」問題は存在しません。試験を構成する要素は「言語知識(文字・語彙・文法)」、「読解」や「聴解」の3つです。総合点数は180点満点で、最低合格点数は100点です。更に各要素の合格点数は60点中19点となっています。そのうち一要素でも19点未満となった場合は、最低合格点数の100点を超えたとしても不合格となります。以下の表は上記を簡単にまとめたものです。

試験の構成要素

言語知識(文字・語彙・文法)

読解

聴解

点数

60

60

60

 

②認定の目安

 N1の認定者は何を目安にして認定されるでしょうか。それは以下のとおりです

【読む】

 ・幅広い話題について書かれた新聞の論説、評論など、論理的にやや複雑な文章や抽象度の高い文章などを読んで、文章の構成や内容を理解することができる。

 ・さまざまな話題の内容に深みのある読み物を読んで、話の流れや詳細な表現意図を理解することができる。

【聞く】

 ・幅広い場面において自然なスピードの、まとまりのある会話やニュース、講義を聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係や内容の論理構成などを詳細に理解したり、要旨を把握したりすることができる。 

 

③所要時間、問いの数や内容試験の概要│新しい「日本語能力試験」ガイドブック https://www.jlpt.jp/e/reference/pdf/guidebook1d.pdf

所要時間、問いの数や内容について簡単にまとまった表を載せますので、参考にしてください。なお、問いの内容の詳しい情報について各ページ(【文字・語彙・文法】、【読解】、【聴解】)をご覧ください。

試験科目

(試験期間)

大問

小問数

言語知識

読解

(110分)

文字・

語彙

1

漢字の読み

6

2

文脈規定

7

3

言い換え類語

6

4

用法

6

文法

5

文の文法1(文法形式の判断)

10

6

文の文法2(文の組み立て)

5

7

文章の文法

5

読解

8

内容理解(短文)

4

9

内容理解(中文)

9

10

内容理解(長文)

4

11

統合理解

3

12

主張理解

4

13

情報検索

2

聴解

(60分)

1

課題理解

6

2

ポイント理解

7

3

概要理解

6

4

即時応答

14

5

統合理解

4

 

3) 文献の用意

 日本語能力試験N1に合格するために必須なもののもう一つは「教材」です。日本語能力試験N1に関する様々な教材があります。Amazonサイトに記入するだけでも何十冊も出てきます。しかし、それらの教材は自分にどれぐらい合い、試験の準備にどれぐらい役立つでしょうか。結論から言いますと、私の経験上一番役立ったと感じた教材は【おすすめ文献】の教材で、それを使用することをお勧めします。

 教材を選ぶときに重要なのは、その教材がその中で当試験の内容をどれほど正確に反映させているかということです。要するに、試験に出る問題の性質やレベルが考慮されて作られているかということが重要です。

 試験まで十分準備の時間があったらいろいろな教材を使ってみることはいいでしょう。しかし、試験が近づき、慌てたり、焦ったりして短い時間で試験を準備したいと思う人ほど教材の質にこだわる必要があります。